深まる秋の気配、新潟県・上越エリアの名峰、妙高山が紅葉の見ごろを迎えている。

 妙高山は前山や神奈山、三田原山などの外輪山に囲まれた2,454mの標高の山。どっしりとした山容は圧倒的な存在感を放っている。上越で育ち生活をする筆者にとっては、登山はもちろん麓から見る眺めもかけがえのない“心の山”だ。

 外輪山の中腹には各温泉や高原の名を冠したスキー場が並び、冬はとても賑やかだ。最近は各スキー場のゴンドラも、夏季営業や紅葉の時期に特別営業を行なっている。そのおかげか、お洒落なマウンテンリゾートのようだ。

 そんな妙高山に今年も極彩色に染まる秋がやってきた。妙高山には複数の登山ルートがあるが、今回は称名滝と光明滝を通り抜けていく燕温泉ルートを紹介したい。

■充実の燕温泉登山口! 早出して下山後の温泉を楽しもう

燕温泉の足湯。下山後トレッキングシューズを脱いですぐに浸かれる至福の瞬間

 登山口となる「燕温泉」の駐車場は広く整備され、きれいなトイレもあり、すこぶる快適だ。歴史ある温泉街には無料の足湯もあり、下山後の温泉の楽しみも待っている。登山道入り口には地図と共に、ライチョウ保護のための入山協力金を募っており、金額に応じて木製の可愛いライチョウのキーホルダー等がもらえる。登頂した記念のお土産にもぴったりだ。

 今回は「妙高縦走線~山頂~麻平・長助線」を周回できればと思っていたが、「妙仙橋」と呼ばれる露天風呂と登山道の入り口に架かる橋が修復されていなかった。現在、燕温泉からは「黄金の湯」経由の“北地獄谷ルート”のみになっている。男湯女湯に分かれた硫黄臭のする白濁色の湯の黄金の湯は、下山後にぜひ立ち寄ってみてほしい名湯だ。

■紅葉のトンネルを抜けて景色を満喫する

 登山ルートにある天狗堂からは、黄色やオレンジのモミジのトンネルだ。ふかふかカサカサのトレイルはこの時期の醍醐味と言える。その先にある光善寺池周辺は草紅葉と紅葉の絶好のフォトスポットだ。さらに行くと妙高山登山の難所といえる鎖場がある。しっかりとした鎖とロープが整備されているが、気を抜かず安全に通過したい。

見頃! 錦秋の光善寺池

 9月の陽気で1週間ほど紅葉時期が遅れているという話を耳にしたが、南風の影響かダケカンバの葉は少し焼けてチリチリになっていた。

 ここから一気に高度感が増して景色が開ける。日本海や野尻湖、周囲の山々も一望できる。外輪山の景色も素晴らしいが、吹き抜ける風はとても冷たくルート上の岩も冷たい。この時期からは毛糸の帽子や手袋などがあると快適だ。

 山頂からは360度の大パノラマが楽しめる。焼山や火打山、雪化粧をした白馬の山まで見渡せる。妙高大神(みょうこうだいじん)に手を合わせ、登頂した感謝と下山の無事を願う。この日は来たルートを下った。温泉街でトチ餅を買い、ゆっくりと足湯で疲れをほぐす……。最高の瞬間だ。

 登山と紅葉と温泉と、すべてが整う秋の妙高山へ出かけてみてはいかがだろうか。