曇天雨天が続く初秋、山行計画が立てづらい。この先もすっきりしない予報が続き、スカッー! とした晴天にはなかなか恵まれそうもない気配。となれば頂上からの展望や道中の景色は一旦脇に置き、森の中をゆっくり歩いていくような、しっとりとした山歩きをしてみようと思い「御前山」へ向かった。

■花の百名山のひとつ「御前山」

 奥多摩三山のひとつに数えられ、東京都西多摩郡奥多摩町と檜原村の境に位置する御前山。早春のカタクリが特に有名で、花の百名山として全国的に知られる。もちろん首都圏近郊のハイカーにも人気の山だ。

 今回は檜原村・小沢バス停からのルートを選択。「山と高原地図」では中級向けで紹介されているコースだ。メジャールートは奥多摩方面からの登頂だが、背の高い杉や檜の樹林帯を行くことで多少の雨風が防げるし、濡れた岩場や増水した沢を避けたかったのだ。

小沢バス停からは歩きやすい道が続く

■霧の尾根道をたどり、山頂へ向かう

 湯久保尾根をたどり山頂へ向かう道は、なだらかな勾配が基調。時折現れる急登で高度をだんだんに上げていく、といった道のり。地図によると小ピークを巻いているようなのだが、進むにつれどんどん濃くなる霧のせいで、それらしきものは全く見えない。多少は予報の良い日を狙ったつもりだったのだが、山塊全体が雲に覆われたような状態なのだ。

 しかし、登山道は一本道。踏み跡もしっかり付いており、大きな段差などもほとんどない。本当に静かな山中でゆっくりと歩を進めることができた。

登るにつれ濃くなる霧。これもまた奥多摩らしい景色

■山頂は、緑がとても豊か

 御前山山頂には3時間30分ほどで到着。山の北面は奥多摩都民の森として整備されており、周辺の登山道は植生保護のための木道やロープが巡らされている。休憩に十分な山頂広場では、あちこちにあるベンチに腰掛け、野花や景色を眺めることができるだろう。

晴れても山頂からの展望はそこそこ