北アルプスにそびえる穂高連峰の中腹、標高2,300mに位置する涸沢(からさわ)カールは、多くの登山客が憧れを抱く人気スポットで「岳人の聖地」とも呼ばれている。「カール」とは太古の昔に氷河が山を削ってできた半円形の窪地のことで、涸沢カールでは周囲を囲む穂高連峰の圧倒的な眺めを楽しむことができる。

 涸沢カールへは、北アルプスの玄関口、上高地から片道約6時間20分ほどかかるが、最初の4時間強はなだらかな道が続き、北アルプスの絶景を眺めながら歩くことができる。今回は、そんな涸沢カールトレッキングの魅力や注意点、山小屋情報について紹介しよう。

■北アルプスの玄関口、上高地からトレッキングスタート

 涸沢カールへは、北アルプスの玄関口、上高地からトレッキングを開始する。この上高地は日本有数の景勝地なので、登山客以外も大勢の人が訪れる。上高地周辺はマイカー規制があるので、バスに乗り換えて上高地バスターミナルへ。このバスターミナル周辺には観光センターや食事処などがあるので、トレッキングの準備をしっかり整え、登山届を忘れずに提出しよう。

 準備が整えば上高地のシンボル、河童橋からトレッキングスタート。橋から望む穂高連峰の絶景は圧巻の一言である。

横尾大橋から望む穂高連峰の山々(撮影:伏見みう)

■北アルプスの絶景を眺めながら、なだらかな道を歩いて本谷橋へ

 上高地から涸沢カールへは、途中の本谷橋(ほんたにばし)までコースタイム4時間10分と長いものの、標高差100mほどのなだらかな道が続く。河童橋を渡ると、通称「上高地街道」と呼ばれる梓川沿いの道が続く。

 この道からは穂高岳連峰だけでなく、明神岳などの山々を眺めることができるので、透き通った川と青い空、荘厳な山々という絶景を楽しみながら歩こう。 

梓川沿いに続く上高地街道(撮影:伏見みう)

 河童橋から3時間強で横尾大橋に辿り着く。この橋を越えると、道は一変して登山路の様相になり、針葉樹林が現れる。さらに、ここから1時間ほど歩くと本谷橋と開けた河原が見えてくる。

本谷橋。ここからの急登に備えて十分休憩をとろう(撮影:伏見みう)