広大な砂浜からルアーで手軽に狙える高級魚、それがマゴチだ。この釣りは、砂浜に面した海岸を意味するサーフという美しいフィールドから一匹の魚を引き出すワイルドさが特徴であるが、その一方で、初心者でも比較的釣果に恵まれやすい手軽な釣りでもある。

 また、その食味の素晴らしさゆえに、キャッチアンドイート派のルアーマンからも人気が高く、サーフのルアー釣り入門として、その人気は急上昇している。

 本記事では、まだ一度もサーフのマゴチ釣りの経験がない入門者に向けて、この釣りのタックルやノウハウ、おすすめのルアーを解説する。あなたがサーフへの一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しい。

鹿児島県吹上浜に沈む夕日。景観を楽しめるのもこの釣りの大きな魅力だ。(画像:るあらび)

■この釣りの特徴

群れに遭遇できれば数釣りも楽しめる(画像:るあらび)

 マゴチは、見た目のグロテスクさからは想像がつかないほどに美味な魚であり、高級魚の一つに数えられる。砂地を好む特徴があるため、サーフ、つまり砂浜に面した海岸は代表的な一級ポイントだ。

 地域にもよるが、春先の4月末頃から産卵に伴う接岸が始まり、7月~10月にハイシーズンを迎える。特に夏のマゴチは照りゴチといって、産卵後の体力回復を目的に荒食いをするため、ルアーでも釣りやすい。

■必要なタックル

マゴチ釣り用装備の一例(画像:るあらび)

 遠投性に優れ、かつ、重いルアーをキャストできるタックルが使いやすい。具体的には以下の通りだ。

ロッド:10ft(約3m)以上のルアーロッドが使いやすい。サーフゲームの専用ロッドも販売されているが、堅めのシーバスロッドでも充分に使用できる。40g程度のルアーをフルキャストできる堅さが必要であり、M(ミディアム)~ MH(ミディアムヘビー)クラスがおすすめ。
リールとライン:3000~4000番クラスのスピニングリール。筆者は、メインラインとしてPEラインの1.2号を巻き、リーダーとして20~30ポンドのフロロカーボンラインをFGノットで結束して用いている。
スナップ:1.5~2号

■ポイントの選び方と釣り方のコツ

 サーフのマゴチはキスを好んで捕食しているため、キスが釣れるサーフであれば、非常に高い確率でマゴチも釣れる。そのため、春~夏にキス釣り客が多く集まるサーフは、この釣りの最高のフィールドだ。

 サーフのポイントとしては、離岸流、つまり、沖に向かって払い出す一定の流れが有名であるが、最初のうちは離岸流を見つけるのは難しいかもしれない。そのため、この釣りに慣れるまでは、明確な地形変化を探し、そこを集中的に攻略することをおすすめする。

 大潮の干潮時に下見すれば、地形変化はすぐに見つかる。例えば、白波がたっている場所は、その直下が盛り上がり、水深が浅くなっている。このようなわずかな地形の変化にマゴチが居着いたり、ベイトを追い込んで捕食したりするので、そうした場所を覚えておこう。その周辺に、マゴチが潜んでいる可能性が高い。

干潮時のサーフは、地形変化を探しやすい(画像:るあらび)

 ルアーの動かし方としては、ボトムを意識することが重要だ。マゴチは基本的に海底をウロウロしており、海底から30cmルアーが離れると、それ以上は追いかけてこない。そのため、ルアーが浮きすぎたと感じたらすぐにフォール(落下)してボトムを取り直すのがコツだ。