障害物の隙間に仕掛けを落として釣る穴釣り。一年を通して釣果に期待がもてるうえに難しい技術を必要としないため、初心者でも楽しめる釣りだ。釣具店でも穴釣り専用コーナーが設置され、初心者用のセットが販売されているなど、釣り人の注目を集めている。
穴釣りは特段季節を選ばないが、春から夏の時期、特に4月から5月の間はサイズ、数ともにベストシーズン。春を告げる魚と書くメバルやムラソイを穴釣りで狙うなら、今の時期が最適だろう。筆者は年中穴釣りをしているが、やはり5月の釣果は安定している。気候的にも釣りがしやすいこの時期に、ぜひ穴釣りを楽しんでほしい。
■初心者でも楽しめる穴釣りだが、注意点も!
穴釣りは釣りのなかでも比較的簡単な部類に入る。釣具店が初心者におすすめしているほどだ。しかし、実際は意外と手厳しい。また、危険と隣り合わせともいえるのだ。筆者はこれまでの穴釣り経験で大なり小なり失敗をしてきた。そのなかでも特に気を付けてほしい点を取り上げて、この機会に注意喚起したいと思う。
■濡れたテトラポッドはとにかく滑る
消波ブロックには色々な形状があるが、テトラポッドのように足を踏む場所が平らではない不安定なものが多い。そのため、消波ブロックの上を歩く際には常に細心の注意が必要となる。
また、テトラポッドが濡れている場合はいくら注意しても滑ってしまうことがある。濡れているうえに海苔や苔が生えている場所はとにかく滑る。絶対に踏んではならない。ほとんどが濡れてしまっている場合、穴釣りは中止すべきだ。
筆者は穴釣りをしているときに土砂降りに遭い、びしょ濡れになったテトラポッドの上で転んだことがある。運良く低い場所だったから良かったが、テトラポッドの隙間に落ちていたらと思うとゾッとする。
また、海に落ちずとも頭を打つ可能性もある。テトラポッドを含めた消波ブロック帯では常に細心の注意が必要だが、濡れている場合は注意ではなく中止することを心がけていただきたい。
■足元ばかり見ていて竿が折れる
穴釣りは釣りの技術よりも良い隙間を探すことの方が重要だ。そのため、基本的には海の中にある障害物の隙間、そして自分の足元に注意しながらの釣りとなる。ずっと目線が下になるということだ。下ばかりに集中していると、竿を持っている手が疎かになってくる。そして、消波ブロックに竿をぶつけてしまう。筆者はそれでお気に入りの竿の先端を折ってしまった。また、筆者の友人も同じ理由で竿を折っている。
この対処法は当然竿を持っている手にも集中すること。そして、短めの竿を使用することだ。穴釣り用の竿は隙間を狙いやすくするために短いということもあるが、移動しやすい利点もある。長い竿は絶対におすすめしない。
■用意してきた仕掛けがすべてなくなる
穴釣りではブラクリというオモリに針がついている仕掛けがよく使われる。隙間を狙いやすい仕掛けだが、非常に根がかりする。これはブラクリが根がかりしやすいというわけではなく、狙う場所のせいだ。狭い隙間を狙って海底まで落とすので当然ともいえるが、初心者のうちは予想を遥に超えるほどの根がかりを体験する。
穴釣りが根がかりしやすいというのは知っていた。そのため、いつも予備のブラクリを多めに持っていた。しかし、そのつもりでもすべてなくなってしまうことが何度かあった。
高校生の頃、電車で1時間かけていった釣り場ですべてのブラクリを失くしてしまったことがある。近くに釣具店がなかったため、何もできずしぶしぶ帰るという惨めな思いをした。
隙間が狭く根がかりしやすい場所は、確かに根魚の住処にはもってこいだ。しかし、釣りができないのでは元も子もない。根がかりが連続して起きるような場所は諦める方が懸命だろう。