■事故が起きた際の注意点

 同行者や近場の登山客が転落などの事故に遭った場合、以下のような行動が必要になる。

・二次災害が起きないように注意しながら容態を確認し、自力での下山が可能か判断をする。

・自身の安全が確保できる場合は事故にあった登山者を安全な場所に移動させるが、無理はしないこと。

・事故にあった登山者の姿が見えない、容態を確認できない、自力で下山できないと判断した場合は110番通報をして救助を要請する。近場に山小屋がある場合は、山小屋スタッフに救助要請を依頼するのも方法の一つ。

・事故に遭った登山者に近づける状況であれば、ファーストエイドキッドを使って止血などの応急処置を施す。

 救助要請で必要な情報は、

①事故の場所
②事故にあった登山者の氏名・連絡先
③容態
④事故の場所
⑤登山届の提出有無・提出先など

焦って連絡した場合でも、警察が必要なことを的確に聞いてくれるので、落ち着いて答えよう。 

 救助ヘリが見えたら、

①黄色や赤など、認知しやすい色のアウターやタオルなどを片手に持ち、円を描くように回す。
②ヘリに乗っている人が目視できるようになれば、アウターやタオルを上下に振って救助を要請するサインを送る。たまに、救助ヘリに手を振る登山客を見かけるが、救助場所を知らせる以外の目的で手を振るなどの紛らわしい行動は、早急な救助活動を妨げてしまうので控えよう。

 無事に救助者がヘリで搬送されたら、自分は安全第一で下山すること。精神的にショックを受け、疲労しているとケガや事故の確率が上がるため、普段以上に慎重に行動するように。

■安全に登山を楽しもう

青空の下、絶景を眺めながら山登るのは最高の一言 安全に登山を楽しもう(写真:みう)

 登山は楽しい反面、危険が伴うアクティビティである。事故を避ける対策、事故が起きた際の対策を行なって、登山を安全に楽しもう。

 急な岩場や鎖場を登る際は、頭部を守ってくれるヘルメットは必須。登る山の状況に応じて購入および装備してみてはどうだろう。

 今回は落石や転落に焦点を置いて紹介したが、ほかにも登山には危険がある。事前に登る予定の山の情報や、天気予報を収集して備えよう。