■事故を回避するために

 このような転落、落石事故を避けるために以下のことに注意することが大切だ。

・ガレ場で滑らないよう「フラットフィッティング」という歩き方を心がける。普段の生活では踵から着地し、足先で蹴り出す歩き方をするが、この歩き方は登山では滑りやすく、落石を誘発しやすい。「フラットフィッティング」は足裏の真ん中に荷重をのせ、靴底全体で足を岩や石の上に垂直に置く歩き方で、足裏と地面の設置面積を増やす。雪国の人は滑らないようにこの歩き方をする人も多いが、不安な場合は散歩の際に練習しておくことをおすすめする。

・石や岩を落とさないように注意する。もし落としてしまった場合は「ラーック」と叫び、周囲に注意喚起する。

・浮石を避けるため、矢印や「○」の印を目安に足場を確保する。このような印がない場合、周りの登山客が歩いて安定している場所を歩くように。

・岩場を登る場合、雨の影響で濡れていると滑りやすくなるので注意する。状況に応じて撤退の判断も想定にいれておくこと。

・天候や体調に応じて、ルート変更や撤退などの判断をすること。

 登山で起きることは自己責任なので、できる限りの対策をして、安全で快適な登山を楽しもう。とはいえ、落石や疲労などで事故が起きてしまうこともあるので、滑落を目撃した際の行動を紹介する。