現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。いわゆる「源平合戦」として知られる治承・寿永の乱や武家たちの主導権争いを三谷幸喜の脚本で描いている。

 主人公でのちの執権・北条義時を小栗旬、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝を大泉洋が演じているが、キャスト陣の中でも注目を集めているのが頼朝の弟・義経を演じる菅田将暉だ。これまでの義経は「容姿端麗」「悲劇のヒーロー」などのイメージが先行していた。今年の大河では良く言えば型破りな、悪く言えば残忍な、従来と異なる義経像が話題となっている。

 その義経の「八艘(はっそう)飛び」で知られるのが、源平合戦のハイライト・壇ノ浦の戦いだ。現在の山口県下関市の関門海峡で、平家軍が源氏軍に攻め滅ぼされ、海の藻屑と消えた。平清盛の孫に当たる安徳天皇の悲劇の舞台としても知られる。

 今回は、壇ノ浦古戦場付近の見どころと、古戦場の近くの火の山(標高268メートル)から望む絶景を紹介し、源平合戦以降も歴史の重要ポイントでありつづけた地域の魅力を紹介する。

■「義経の八艘飛び」とは

観覧車から望む関門海峡。この海上を義経は舞った

 壇ノ浦は、本州と九州を隔てる関門海峡が最も狭くなる場所。現在は関門橋が架かるほか、海の下には山陽新幹線や国道2号の海底トンネルが走っている。八艘飛びは、義経が平家方の猛将・平教経に狙われた際、水上で重い鎧を身にまといながらも次から次へと船に飛び移り、逃げ切ったという故事を指す。