春風そよぐ気持ちいい季節になってきた。長野県、信州の北部は県内では北信地方と呼ばれ、北に行くほど豪雪の雪国だ。呼び名の明確な定義はないが、千曲川(新潟県で信濃川となる)の流れに沿った「北信濃」エリアの春は遅く、例年4月中旬ごろから桜を始めとして、花々が待ちわびたように一斉に咲き誇る絶景が広がる。

 急速に暖かくなった3月だったが、4月に入り寒の戻りで寒い日が続いた。そのため、例年よりまだ咲いていない桜(ソメイヨシノ)などの開花はゆっくり目となっている。

■山里を彩る「古代桜」

 北信濃の東、志賀高原の麓である長野県(下高井郡)山ノ内町。宇木地区は「古代桜」の名所だ。エドヒガンザクラ(しだれ桜)の古木・名木が随所に点在し、早春の山里に彩りを添えている。桜とともにお寺やお地蔵さん、北信濃の山並みと相まってのどかな、どこか懐かしさを感じる風景が広がる。なかでも「千歳桜」は長野県天然記念物指定で、樹齢約850年だというので驚きだ。

 しだれ桜のピークがすぎる頃、今度はソメイヨシノを中心とした桜が綻んでくる。夜間瀬川沿いや湯田中渋温泉などがスポットだ。雪国の春は忙しい。見頃は4月中旬〜下旬。

「千曲川堤防桜堤」の八重桜と菜の花畑

 上信越道、「ハイウェイオアシス小布施」からもほど近い場所に、八重桜と菜の花畑の絶景スポットが待っている。千曲川に架かる小布施橋の東側、堤防道路沿いの約600本の桜の並木は全長約4kmも続く。ドライブの途中に休憩がてらにも寄りやすいが、端から端まで歩くだけでもいい運動になる。「一葉」という八重桜は花にボリュームがあって見応えがある。

 さらに河原には菜の花畑が圧巻のスケールで広がっており、中を歩くとまるで黄色い迷路のよう。桜のピンク色とのコントラストも素晴らしい。例年GW連休の頃まで楽しめる。