■mont-bell

 優れた機能性と品質に定評のあるmont-bell。クライマーであった現会長の辰野勇氏が1975年に2人の山仲間と「自分たちの手で、自分たちの欲しい山道具をつくろう」という想いで立ち上げたのがその始まりだ。

 当時の登山用品は輸入品が主流だったが、辰野氏らは豊富な登攀経験をもとに、より機能的な製品づくりを目指した。多雨多湿で寒暖差が激しい日本の山岳気象に合った製品は、過酷な登山での使用や厳しい気象条件で培われた高い品質が、現在ではキャンパーにも高い評価を持って受け入れられることになった。

 創業時の「自分たちの欲しいものをつくる」という考え方は現在でも一貫しており、社員の誰もが製品の企画を提案できる仕組みがあるため、遊びのなかで生まれたアイデアが製品開発に生かされているのだ。

 登山用品のイメージが強いmont-bellだが、キャンプカテゴリーにおいては、キャンプサイトを基地(ベース)にして、登山やカヤック、サイクリングなどのアクティビティを楽しむ「ベースキャンプスタイル」を提案している。軽量で設営がしやすく、快適性の高い商品が多いのもポイントだ。

●シームレス バロウバッグ #3

価格/1万5950円(税込)
カラー/ブルーグリーン(BASM)、レッド(SURD)
重量/933g(963g) ※( )内はスタッフバッグを含む総重量。
サイズ/ジッパー長170cm
収納サイズ/φ17×34cm(6.8L)

 

 mont-bellを代表するヒット商品であるスリーピングバッグ。創業翌年に、ダクロン・ホロフィルIIという、当時最先端のポリエステル繊維を中綿に使用することで、当時としては驚異的なコンパクトさを実現し、ヒット商品に。

 その後も、伸縮性を持たせた「スーパースパイラルストレッチシステム」や、内部の隔壁をなくして縫い目を減らした「スパイダーバッフルシステム」など、画期的な機能を持つ商品が発売されている。

 2022年春夏にモデルチェンジした当モデル。耐久性が高く、濡れにも強いモンベル独自の化繊綿を使用し、表地に縫い目のでないシームレス構造にすることで、中綿のロフト(かさ高さ)を高く保持し、内部からの放熱を防ぐ。

 

 キャンパーにはおなじみのメーカーであっても、その成り立ちから深く知ることで、さらなる魅力に気づくはずだ。今回紹介した2メーカーは、どちらも登山用品の生産から出発して、それぞれ独自の高みに到達している。

 そのような日本の優れたアウトドアメーカーの発展が、私たちキャンパーの活動を支えてくれているのだ。