“踵(かかと)”を上げる独特のフォームで滑るテレマークスキー。スキー場でたまに見かけて気になっている人もいるのでは?  なぜ、こんな姿勢で滑るのか?  そのメリットや楽しさは何か?  テレマークスキーの魅力を紹介しよう。

■テレマークスキーとは?

かかとが上がるので、歩き・登りがしやすい

 テレマークスキーは、フリーヒールスキーとも言われる。かかとが固定されていないため、歩く・登ることが簡単にできるのが特徴だ。スキーは、もともと自然の雪山(バックカントリー)などを移動する道具として生まれ、テレマークはその特徴の名残を留めているのだ。つまり、スキーの原点に近い道具と言えるだろう。

 かかとが固定されていないため、斜面を滑る際の安定性はアルペンスキーよりも低い。このデメリットを補うために、足を前後にずらしてターンをする独特の姿勢が生まれたようだ。

 ビンディングは、伝統的な75mm規格と、比較的新しいNTN規格がある。75mm規格は剛性が低いが、軽快で自由な滑りが楽しめる。NTN規格は剛性が高く、シャープなエッジングも可能だ。

テレマークスキーではクラシカルな革靴も健在

 テレマークスキーは1990年代にはじめてプラスチックブーツが販売され、それまでは皮革製のブーツしかなかった。しかしプラブーツが主流となった現代でも、革靴は現役で活躍している。滑走面にウロコが刻まれた細板と革靴の組み合わせは、緩やかな里山をのんびりスキーハイクするのに最適だ。このように、道具が進化一辺倒とは少し違うこともテレマークスキーのユニークな点だろう。

■テレマークスキーの魅力は解放感と難しさ

自由に野山を歩き回れるのがテレマークスキー

 テレマークスキーの魅力は、何と言ってもその軽快さ、自由さだろう。不安定さは一般的にはデメリットであるが、それは裏を返せば、体を自由に動かせるということでもある。可動域が大きいため動きが規制されず、それがなんともいえない解放感につながるのだ。

 そんなテレマークスキーの醍醐味は、やはりバックカントリーで発揮されるだろう。自然の中で軽快に動き回れるのは、気分が良いものだ。道具も、NTN・75mm・革靴などとバラエティ豊かなため、シチュエーションによって道具を選択するという楽しみもある。

転んでも楽しい。難しさはテレマークの魅力のひとつ

 また、テレマーク姿勢でのターンは技術的に難しいと言われるが、ターンの原理などは、基本的にアルペンスキーと同じ。きちんと良いポジションに乗れれば、問題なくターンができる。

 テレマークスキーの”難しさ”は、デメリットでなくメリットとして受け止められていることも多い。アルペンスキーの上級者が、テレマークスキーを履いて転びまくり、スキーを始めたころの新鮮な気持ちを思い出した、などというのもよく聞く話である。