4年に1度の冬季五輪が開催される冬がやってきた。双葉社より発売中のスキー専門誌「BRAVOSKI」から北京オリンピック直前情報の中から、フリースタイルスキーに限定した観戦ガイドを連載でお届け。第2回目は、開会式前日の2月3日(木)に予選が始まり、5日(土)に男子決勝、6日(日)に女子決勝を予定している「モーグル」について。男女ともに大本命の連覇阻止を日本選手が狙う構図に注目しよう。
■日本人選手が金メダル獲得なるか?
これまでモーグルの歴史を紐解くと、長野五輪を例外として、五輪金メダルはその時点でのナンバー1選手がほぼ獲得している。今回、それに該当する女子選手は、W杯総合4連覇中、世界選手権でも優勝したペリーヌ・ラフォン(FRA)であるのに間違いない。彼女以外の金メダル候補をもうひとり挙げるとすれば、‘21季のW杯で総合2位の川村あんりをおいて他にいない。表彰台の常連となった彼女だが、‘21季までにまだ優勝、つまりラフォン超えの経験がない。その点で、五輪前に9戦予定されているW杯前半戦で1度はそれを果たして、自信を深めて五輪に挑みたいところだ。
では男子は? 昨季の開幕の時点では、ミカエル・キングズベリー(CAN)の負傷欠場で、“ナンバー2の堀島行真が浮上か?” とも考えられた。ところが、W杯の途中から復帰したキングズベリーは、世界選手権も含む出場したレース4戦ですべて優勝と、欠場がウソのような快調ぶりをみせた。一方、堀島は失敗するレースもあり、ナンバー1の座には届かなかった。ただし、関係者の証言では、本人の北京五輪に賭ける意気込みは並々ならぬものがあり、メンタル面も含めた弱点克服に余念がないという。おそらく、金メダル獲得のためにすべてを賭けてくるだろう。
いずれにしても、男女とも本命に対抗する存在が日本選手だという構図が実に興味深い。
■モーグルの試合形式と見どころをチェック
ここからは、五輪モーグル観戦にあたり、念頭に入れておきたいテーマをチェックしよう。まず、試合形式について。下の図にあるように、五輪は通常のW杯と異なり、予選1で10名が、予選2で10名がそれぞれ決勝1に進む権利を得る。これは、1度は失敗してもチャンスが確保されるシステムだといえる。そして、決勝ラウンドは20名、12名、6名と絞られていく。つまり、メダルを狙う選手は最少でも4回滑る必要がある(通常は最少3回)。
モーグルの採点はターンの割合が多く、特にミドルセクションが勝負を分けるケースが多い。五輪は急斜面のロングコースとなるのが定番であり、そこは我慢比べの様子を呈する。メダルを狙う選手は、それを4度もミスなくこなす必要がある。観ている側はそのエキサイティングな我慢比べを何度も楽しめるのだ。ターンも重要だが、高いレベルでの紙一重の差を競う戦いでは、スピードやエアの得点も軽視できない。その点で、キングズベリーや堀島が、金メダルを得るために、最難度エアであるコーク1440で勝負するかが大きな見どころとなる。ただし、現場は風が強い傾向があるようで、それが観られるかどうかは、当日の状況次第となりそうだ。
■試合スケジュール
●2月3日(木)
18:00 女子モーグル予選1
19:45 男子モーグル予選1
※2月4日(金) 開会式
●2月5日(土)
18:00 男子モーグル予選2
19:30 男子モーグル決勝
●2月6日(日)
18:00 女子モーグル予選2
19:30 女子モーグル決勝
※すべて現地時間。日本との時差はプラス1時間
【BRAVOSKI 2022 vol.3 より再編集】