4年に1度の冬季五輪が開催される冬がやってきた。双葉社より発売中のスキー専門誌「BRAVOSKI」から北京オリンピック直前情報の中から、フリースタイルに限定した観戦ガイドを連載でお届け。第1回目は、2月4日(金)に開会式を迎える前に観戦をより楽しむための、特に重要だと思われるチェックポイント4つを確認しておこう。

スキー専門誌「BRAVOSKI」より  北京五輪フリースタイル  おさえておきたい4つのポイント

■ポイント1. ビッグエア、エアリアル混合団体が新登場フリースタイルは史上最多の7種目

 1988年のカルガリー五輪の公開競技から始まった五輪のフリースタイルは、徐々に種目数を増やしていき、今大会から新たに2種目が加わって全7種目となった。新種目のひとつ目は、男女3人1組での国別バトル、エアリアル混合団体だ。五輪のフリースタイルで団体種目、男女混合種目は初となる。

 また、ビッグエアスノーボードに続き、今回からスキーでも行われるようになった。現状ではビッグエア専業の選手はおらず、スノーボードと同様、スロープスタイルに出場する選手が自動的に出場することになる。

 つまり、エアリアル、スロープスタイルの選手はふたつの五輪メダルを獲得できるチャンスがある。これもフリースタイルの歴史では新しいことなのだ。

■ポイント2. 日本との時差は1時間  リアルタイムでテレビ観戦が可能に

 前回五輪は日本と時差ナシの韓国での開催だったが、今回も現地との時差はわずか1時間。日本で日付が変わった60分後に、北京では次の日になる。

 2030年に札幌へ冬季五輪を招致する動きがあるものの、平昌、東京、北京と東アジアばかりでこんなに集中的に、立て続けに五輪が行われることは今後は少なくとも数十年単位でないことだろう。

 北京五輪の4年後、2026年の冬季五輪はイタリアのミラノ/コルティナ・ダンペッツォが舞台。ミラノと日本の時差は8時間なので、現地の20時に日本では朝の4時だ。

 北京五輪は、日本で時差を気にせず、睡眠時間をあまり削らずに五輪観戦できる貴重な機会だと考えるべきなのだ。

■ポイント3. 大会会場は張家口市の「雲頂スノーパーク」と、北京市の「ビッグエア首鋼」

 冬季五輪は“町”と“山”が会場になる。また、スキーのハーフパイプ、スロープスタイルが正式種目化されたソチ五輪以降、ほとんどのフリースタイル種目とスノーボード種目は、同じ“山”の会場が舞台となっている。今回は、北京より北西約180㎞に位置する張家口(ちょうかこう)市のスキーリゾート「雲頂スノーパーク」にモーグル、エアリアル、スキークロス、ハーフパイプ、スロープスタイルの会場が設置される。

 ただし、今回は“町”で実施の種目もある。北京市内に新設された画期的なビッグエアの常設会場である「ビッグエア首鋼」(アイコン写真になっている会場)にて、ビッグエアが行われるのだ。ここでは、お祭り的な盛り上がりが予想される。

2022年 冬季五輪の開催場所

■ポイント4. 日本人選手のメダル獲得の可能性は大 しかも、複数メダルもあり得る!

 日本は、過去2大会で連続してフリースタイルのメダリストを輩出しているが、今回もそれに続く可能性は大きい。なぜなら直近のW杯、世界選手権で表彰台に立つ選手が複数存在するからだ。まず、圧倒的なのはモーグルだ。男子はいわずもがな、“絶対王者”ミカエル・キングズベリー(CAN)に次ぐ存在として、堀島行真の存在が逞しい。難攻不落のキングズベリーに勝ったことがある実質唯一の選手であり、金メダルも狙える有力メダル候補である。

 女子は、川村あんりがW杯で毎回上位に入る抜群の安定感を見せる。これは、総合優勝した頃の上村愛子を例外に過去の日本選手にはなかなか見られなかったこと。世界選手権で芳しい結果を残せなかったのが不安材料だが、17歳の彼女もまた、文句なしのメダル候補だ。

 そして、昨季はもうひとり、これまで4位止まりだった住吉輝紗良が第4戦で初表彰台に上がり壁を突破した。このときは、川村とのダブル表彰台が実現している。もうひとり、冨高日向子も表彰台経験はないが、それに迫る戦績をたびたび残している点にも注目。場合によっては、女子は日本人メダリストが複数……という展開もありえるのだ。

 一方、スキークロスでは'21季に、アルペンの高速系から転向して3季目の須貝龍がロシアでのW杯で初の表彰台(2位)を記録。今季の開幕戦でも7位と好調。スキークロスは“何が起こるかわからない”種目であり、須貝が北京でサプライズを起こす可能性も十分に考えられる。

●'21季に世界大会の表彰台に上がった日本選手

【モーグル】
堀島行真=W杯優勝
川村あんり=W杯2位
住吉輝紗良=W杯3位

【スキークロス】
須貝 龍=W杯2位

 

【BRAVOSKI 2022 vol.3 より再編集】