農業の貴重な水源としての役割はもちろん、近年では水鳥や魚など生物多様性の宝庫として注目が集まり、今日「ため池」の役割を再評価する動きが広がっている。

 農林水産省によると、ため池は全国に約16万カ所が存在しており、最も多いのは兵庫県で、2万2千カ所。以下、広島県1万8千カ所、香川県1万2千カ所、岡山県9500カ所と、雨の少ない瀬戸内地方に集中している。

 なかでも兵庫県東播磨地域の「いなみ野」は、日本有数のため池密集地帯。老朽化したため池を補強するハード事業はもとより、ため池を巡るハイキング、ため池に棲む生き物の観察教室など、保全活動が盛んだ。今回は、美しい自然や生活の息吹を感じることができる「いなみ野」の見どころを紹介する。

■天満大池

兵庫県で最も古いため池、天満大池

 天満大池は約1300年前に造られたと推測され、兵庫県で最も古い池とされている。面積は34.6ヘクタールで、甲子園球場9個分の広さがある。一帯は公園として整備されており、散策道のほか、バーベキューコーナーなどもある。珍しい野鳥が訪れることもあり、バードウオッチングにもうってつけの場所だ。

住所 兵庫県加古郡稲美町六分一1179番地の1