日本ではじめて世界自然遺産に登録された、本土最南端の鹿児島県佐田岬から60km離れた離島「屋久島」。海に囲まれた島の中央には九州最高峰の宮之浦岳がそびえ立ち、その地形が織りなす環境が温暖多雨な気候を生み出している。

 「ひと月に35日雨が降る」と言われるほど世界屈指の雨量を誇る屋久島には、多くの固有種や絶滅のおそれのある動植物が生息している。屋久島にはさまざまな魅力的なスポットがあるが、特に人気なのが『もののけ姫』の森のモデルにもなったと言われる「白谷雲水峡」だ。

 豊かな水・青々とした苔・変わった形の樹木から成る白谷雲水峡は、屋久島の原生的な森に囲まれてトレッキングが楽しめるスポット。深々とした森をゆっくり観察しながら歩くことができる。

 そんな白谷雲水峡は年中訪れることができるため、これからの季節でも自然を堪能することが可能だ。今回は、2021年4月に訪れた写真とともに白谷雲水峡の魅力やコースについて紹介していく。

■苔と大木が織りなす「白谷雲水峡」

屋久島でしか見られない圧巻の景色が広がる

 白谷雲水峡は、屋久島の玄関口のひとつである「宮之浦港」から車で約25分の場所に位置する。入り口までは傾斜のきつい車道が続くため、バスかタクシー、レンタカーを活用するのがおすすめだ。入り口には無料の駐車場があるため、ハイシーズンでない限り車でアクセスすることも可能だ。

 白谷雲水峡をめぐるには複数のルートがあり、体力に合わせて好きなルートを選ぶことが可能だ。
・美しい峡谷と樹齢3000年の「弥生杉」を遊歩道で楽しむコース:往復1時間
・有名な屋久杉をめぐりながら苔むす森を探索するコース:往復3時間
・もののけ姫の森のモデルと言われる原始の森を目指すコース:往復4〜5時間
・巨岩の岩屋までめぐる白谷雲水峡のすべてを楽しむコース:往復5〜6時間
(引用:屋久島Trekking navi)

 1時間のルートでも絶景を見ることはできるが、体力に自信のある人には原始の森や巨岩「太鼓岩」までめぐると白谷雲水峡を満喫することができるだろう。