■今日が登山道整備本番! なのに天気は雨!

だいたい切り終えてニンマリ

 翌朝、朝日は何処? 小雨降る中茶臼小屋を出発。

 昨晩、小屋で一緒になった地元島田のおっちゃんは4時に起きて光岳まで行くと言っていたけれど、天気が悪いから朝カレーを食べて下りていった。長年愛用している井川メンパに入ったご飯が、やたら美味そうに見える。そこにカレーを豪快にかけるもんだから、こちらはたまったもんじゃない。お腹がすいた。

 負けじと朝食をもりもり食べて、私たちも出発。登山道に覆いかぶさるハイマツを、容赦なくぶった斬っていく。

 特にカーブは念入りにチェック。「向かう先の道の見通しをよくすること」が大切らしい。たしかに、先が見えたらガスっている時の道迷いだって減るはずだ。

今週の光岳。朝、一瞬の美しい時。陽が上がれば溶けてしまう

 普段の登山では薮だって漕ぐし、廃道だって歩くから、とにかく前にがむしゃらに進む。整備されている、されてないというのはあまり気にしないのだけれど、「登山道整備」となると気になるもので。登山道に覆い被さるハイマツの勢いがすごい。

 今回初めて感じたが、登りではよく整備したつもりでも、下りでは道をわかりにくくしていることもあったりする。振り返ってみることも大事なんだな、なんて気がつく。

 登山者は、この道を歩いて小屋までくる。正確には光岳を目指してくるのだろうが、できるだけ登山者のリスクを少なく、歩きやすくできたら良い。でもやりすぎもよくないと思うから、これもバランスか。

 大きなハイマツは「ごめんね」と心の中で呟きながら切った。山の仕事、ほんとうに盛りだくさんだ。全てが初めて。これが正解かもわからないけど、考えながら初めてを大事にしていきたい。そんなことを思いながら、雨の中、小屋までの道を拓いていった。