■船が見られる山の真相とは
つづら折り区間を抜けると、ところどころ視界が開け、佐伯駅方面・町並みを望むことができる。さらに歩を進め、目的とする濃霞山東展望台が近づくと大型のクレーンが眼前に出現する。
「山に登ると船が見られる」。その答えは、展望台の直近に迫る造船所の景色だった。
120トンクラスのジブクレーンが林立し、大型のタンカーを製作する現場を上から見られる場所はそう多くはないだろう。製作途中の船のパーツや作業用の桟橋など、船が好きな人垂涎の場所といえよう。撮影した日は休日だったため、クレーンは動いていなかったが、稼働日であれば船体を接続する溶接の音や、大型クレーンが動く勇壮な姿が見られるだろう。また、造船所の背後には大入島と付随する島々が望め、渡し船が行き来する佐伯市らしい風景を楽しむことができる。
船が完成すると「進水式」と呼ばれる、船の誕生を祝い、航海の安全を願う式典が開かれる。通常は一般客の入場も可能だが、コロナ対策のため現在は入場禁止となっている。山頂からであれば見学も可能なので、ハイキングがてら訪れてはどうだろうか。なお、佐伯市観光協会ホームページには進水式の開催予定日や船の大きさなどが掲載されているため、事前に確認するとよいだろう。
駐車場から濃霞山東展望台までの所要時間は片道30分程度で、子供が同行しても問題ないレベルの山行である。ぜひ、乗り物好きなお子さんを連れて式の見学に臨んで欲しい。
■「造船の街 佐伯」を感じられる山
大抵、海沿いの山では、遠目に航行する船を望むことができるが、濃霞山は間近に迫る船を見ることができる特別なスポット。駐車場も整備されており、片道30分程度で展望台に到着するので、散歩がてら製作途中の船を眺めに訪れてみてはいかがだろうか。