●理由③ 紫外線は疲労の原因にも?

 「マウス(ねずみ)を用いた実験では紫外線を目に浴びせると疲労が増加することがわかっています(注3)。同じことが人間でも起こる可能性は高いと考えます。疲労はケガや遭難につながり登山の大敵です。紫外線を浴びないことで疲労を軽減できると思われます」

●理由④ 山の上は紫外線が多い!

標高が1000m上がると、紫外線は約10%増加する

 「これらの病気のリスクは他の屋外スポーツでもありますが、登山の場合は特に高くなります。なぜなら標高が1000m上がるごとに紫外線は10〜12%増加するからです(注4)。日本アルプスのような3000m級の山では30%以上も紫外線が多くなる計算になり、身体へのダメージも大きくなります。」

■紫外線対策にはサングラス!

 「このように紫外線は目にも様々な病気を引き起こし、登山ではそのリスクが高くなります。このようなことから、目から紫外線を守るためにはサングラスをかけることが重要なのです。ただし製品によってはただレンズに色がついているだけのものもありますので、買う際には紫外線透過率の低いものを選ぶようにしましょう。また、紫外線はサングラスの隙間からも入り込みます。なるべく隙間の少ないタイプやレンズの大きいものを選ぶなど、顔との隙間にも注目しましょう。サングラスだけではなく、帽子との併用も効果的です。」

■登山ではサングラスをしよう!

 紫外線は皮膚の日焼けだけではなく、目にもたくさんの悪影響を与える。楽しい登山ライフを末永く続けるためにも登山の際はサングラス着用を心がけるようにしよう。

 

<参考文献>

(注1) Modenese A, Korpinen L , Gobba F: Solar Radiation Exposure and Outdoor Work: An Underestimated Occupational Risk. Int J Environ Res Public Health, 2018; 15:
(注2) Yam JC , Kwok AK: Ultraviolet light and ocular diseases. Int Ophthalmol, 2014; 34: 383-400.
(注3) 平本 恵, 朴 雅 , 井上 正: 【疲労の科学】日焼け疲労と生体酸化. 脳21, 2004; 7: 36-40.
(注4)環境省:紫外線環境保健マニュアル. https://wwwenvgojp/chemi/matsigaisen2015/full/matsigaisen2015_fullpdf, 2015;