「恐山」と聞いてどんなイメージを持つだろうか。

・死者の魂を憑依させ、死者の言葉を伝える「イタコ」
・日本三大霊場に数えられる「霊験あらたかな場所」
・”恐”の漢字が使われるとおり「恐い場所」

 こうした印象を持っている方が多いのではないだろうか。踏み入れてみるとそのイメージが一変する場所、恐山の魅力について写真とともに紹介しよう。

■実は「恐山」という単独峰は無い

恐山菩提寺。背後は地蔵山が見える

 実は「恐山」という山は存在しない。宇曽利湖を囲む、釜臥山・大尽山・小尽山・北国山・屏風山・剣の山・地蔵山・鶏頭山の八峰を総称して「恐山」と呼ぶ。また、”オソレヤマ”も「くぼみ」を示すアイヌ語の”ウショロ”がなまったもので、直接的に「恐」の漢字とは無関係であるとみられる。ちなみに「くぼみ」は、カルデラ湖である宇曽利湖のことである。

 カルデラ湖があることから分かるとおり、恐山の周囲一帯は小型の火山や溶岩ドームを擁する活火山地帯である。恐山をイメージづける荒涼とした風景は、噴気現象や温泉の湧出などの火山活動によるものである。