日帰りで気楽に山を歩こう! 山をこよなく愛する人気女優・釈由美子さん(43)をガイド役に迎え、初心者のための日帰りから始める、"山歩き"のハウツーをお届けしたい。ここでは、日帰り山を歩くのに必要な装備についてまとめたい。

【PART3】

■安全を守る装備とは?  自然を甘く見ないことが大切だ

登山で磨かれた「山筋」で美しいスタイルをキープしている釈由美子さん

 どんなにライトな山歩きであっても、近所を散歩するようなファッションと持ち物で出かけるのはNGだ。大自然の懐に飛び込むわけだから、最低限の装備は必要なのだ。「いかに軽くするかという視点を持ちながら、必要なものは必ず持ってくことが重要ですね。暑い季節であってもマストなのはレインウェアです。天気予報が”晴れ”でも、山の天気は変わりやすいので、急に雨が降ることがありますから」(釈さん)

 レインウェアとは、つまり雨具の役割を果たす防水機能のある専用ジャケットのこと。ただのウインドブレーカーや、ちょっとしたジャンパーでは用を果たさない。夏山、秋山での主な装備については下にまとめた。日帰りでも、万が一を想定してほしい。山岳写真家で信州登山案内人の杉村航氏はこう付け加える。「たとえば一般的な山のハウツー本には、ナイフも装備リストにあることが多いですが、経験上、日帰り登山でナイフの出番は、まずない。装備については、経験を積みながら、1日の行動をシミュレーションすると、何が必要で、何が不要か分かってくるようになります」

 山歩きは、経験値を上げていく楽しさもあるのだ。

●基本となる日帰り山歩き装備

ジャケット(レインウェア)

 「夏場は不要では?」と思うかもしれないが、「山は天気が変わりやすく、雨に濡れたり、気温が急に下がることもあるので絶対に必要です」と釈さん。重視されるのは暖かさではなく、防水性と透湿性(蒸気状態の水分を生地の外に逃がす機能)や、風を通さないこと。専用のものを選ぼう。

インナーシャツ

 最近は、いろいろなスポーツのユニフォームが、綿素材ではなく、汗をかいてもすぐにドライ状態にしてくれる化学繊維であることは常識だ。山歩きの際のインナーも同じで、肌触りがよく、速乾性に優れたものが望ましい。なお、夏は半袖でOKだ。

サッカーのウエアも今は化学繊維を用いたタイプが当たり前。山でのインナーも同じなのだ

シューズ

 上の写真の釈さんがはいているようなハイキング向けのライトなシューズから、本格登山向けのゴツいものまで豊富に種類があるので、専門店で店員に相談しての購入が理想。「履きなれた靴であることが大事です」(釈さん)いきなり、山ではき始めるのではなく、事前にはき慣らしておきたい。

バックパック(リュックサック)

 日帰り山歩きならサイズは20~30Lで十分。重要なのは軽さ、フィット感、背負いやすさなどだ。最新のものは、あらゆる面で進化しているので、昔、使っていたものを引っ張り出すのではなく可能な限り新調するのが望ましい。機能性がまったく違う。

写真はコロンビアの「ブルーリッジマウンテン30L バックパック」

パンツ

 写真で釈さんが履いているのは、撥水性、吸湿速乾機能、4WAYストレッチ素材と立体裁断による動きやすさ、さらにUVカット機能も搭載された専用パンツだ。軽い山歩きなら専用パンツでなくても大きな問題は起きにくいが、動きやすく、乾きやすいものがベター。

手袋

 特に夏のシーズンは常に装着している必要はないが、指先は冷えやすいので保温の効果も絶大です。重いものではないので、必ずバックパックには入れておきたい。

防寒着

 気温が急激に下がったときに、インナーやジャケット(アウター)ではなく、フリースや薄手のダウンなどのミッドレイヤー(防寒着・中間着)で暖かさを担保するのが合理的。夏は出番が少ないが、紅葉シーズンの山歩きでは、これの着脱で温度を調節する。