■精進ヶ滝へと続くマイナスイオンに包まれた散策路
一ノ滝からは、いろいろな色の淵や流れが目を楽しませてくれる。道は河床と同じような高さでついてる場所もあり、椅子を持ってきて、水に足をつけながらビールでも飲みたくなるのが本音である。次にくる時は椅子と本とカメラとビールを持参して、朝から一日中渓谷で過ごそうと決めた。
そう決めてからは、椅子の置けそうな場所を探しながら歩くのが楽しくて、気づけばあっという間に終点の精進ヶ滝展望台に到着していた。
ここからの展望は「すごい!」の一言。遠く眺める滝なのに迫力がある精進ヶ滝は、落差120mを誇り、下に9段ノ滝が繋がるので、とにかくスケールが大きいのだ。眺めていると吸い込まれそうになる魅力がある。周りの森にも躍動感が生まれ、すべてが動いてるような景色だ。
いつまで座り込んで眺めていただろうか。顔に雨粒が落ちてきて我に返った。滝の落ち口の空には、いつの間にか黒々とした雲が立ち込めている。上に聳える地蔵岳は、もう雨雲の中だろう。まだまだ眺めていたい気持ちを抑え、滑らないように注意しながら来た道を引き返し始めた。
紅葉の時期はとんでもなく美しいだろうな。冬は氷瀑になるのだろうか。四季を映し出す最高のフィールドが、こんなに手軽に楽しめるのが嬉しくて仕方ない。