■宮川の中流部へ

宮川でアマゴを釣り上げる地元のエサ釣り師

 国道20号線に沿って諏訪湖へ流れ込む宮川。護岸された部分が多く、住宅地の合間を流れており、“里川”らしい趣だ。目ぼしいポイントを探して車を走らせた。

 目をつけた場所は初めてのポイントだったが、釣り人の数が多い。どうやら“当たり”の場所のようだ。先ほどまでの雨で流れは茶色く濁り、釣りをするかどうか迷うようなコンディションで、竿を持たずに様子を伺っている人がほとんどだった。

 しばらく川の様子を見ていると、地元の釣り人がやってきてエサ釣りの支度を始めた。軽く挨拶を交わし、ここはローカルの腕前を拝見しようとしばらく見守ってみることにした。流れ込みの脇を執拗に探っている。すると目印がグンと吸い込まれた。竿がずいぶんとしなっている。大物に違いない。

地元のエサ釣り師が釣り上げたアマゴ

 やがて水面から顔を出したのは、尺を優に越える幅広の魚体だった。そばに寄ってみると、うっすらとパーマークの残った肌に明るい朱点を散りばめた立派なアマゴが、怒ったような顔をしてこちらを睨んでいる。

 「ノボリ(諏訪マス)ですか?」と興奮しながら尋ねると、漁協が放流したアマゴとのこと。諏訪マスと間違えるほど立派な風格を持った魚だった。コロナの影響で養魚場も出荷先が減っていて、こういう立派な魚を回してくれるらしい。

 その後、僕も竿を出したが釣れたのは可愛いアマゴだけだった。そろそろ甲信越も梅雨明けが近そうだ。せめてもう一度、近いうちに機会を作って諏訪マスを狙いたい。