山肌の緑が濃さを増してきた6月上旬。川のせせらぎの音、ウグイスとホトトギスが交互にさえずる声が聞こえてくる。標高1,000m以上の高地を流れる奈川でも、日中の気温は20〜25℃で連続3日目の夏日となっていた。水温は11〜14℃だった。
 水生昆虫に加えて陸生昆虫もチラホラ見られ、フライ(洋式毛ばり)の選択も大いに迷うところ。気持ちの良い初夏の日差しを浴びながら、のんびりとフライフィッシング を楽しんだ。

■梓川支流・奈川。梓湖にそそぎ込む清流!

梓川が奈川渡ダムで堰き止められてできた梓湖

 上高地から流れ落ちる梓川は、松本の郊外で犀川と合流する。その途中で、長野県一の大きさの奈川渡ダムで堰き止められた巨大なダム湖が梓湖だ。その湖に流れ込むのが奈川である。高地に流れてはいるが、川に沿って道路と集落が続き、渓流と里川の風情を合わせもつのも魅力ひとつの河川だ。

初夏の奈川下流部

 生息するトラウトは、ヤマメ、イワナ、ニジマス、ブラウントラウトと種類も豊富だ。湖からの遡上に加え、管轄する安曇漁協が放流に力を入れているのもあり魚影も濃い。毎回安定した釣果を得ている僕のテッパン釣り場だ。

■遡上環境が整った堰堤群

堰堤は多いが、魚が通れるようになっている

 堰堤(ダム)が多いのは本州の河川の宿命だが、それでも各堰には魚道(川に生息する生物が行き来できるような通路)が設けられており、様々な形で魚が通れるようになっている。新旧、様々な堰堤にそれぞれ工夫した魚道があり、川に住む生き物たちのへの配慮が多少でもなされていると思うと少しだけ安心する。

金原砂防堰堤。魚道が設けられている

 さらに魅力を増しているのが、ダム湖から遡上する中に混ざっている大型化したトラウトたちの存在だ。湖で大きく育ったトラウトたちが、秋になると(初夏に遡上する種類もいる)産卵のために上流を目指して川を遡ってくる。金原地区にある巨大な「金原砂防堰堤」にも立派な魚道が設けられており、魚が行き来する様子が見られる。さらに魚道の一部に水族館のように窓が設置されており、遡上する魚たちの姿を観察することができる。
※現在ダムへの道が土砂崩れにより工事中のため、立ち入り禁止(2021年6月)。