前回は美しくてのどかな上流域の話をしたが、今回は比較的水量も安定していて初中級者でも楽しみやすい下流域をご紹介する。日帰りで楽しんでもいいし、長良川に合流して野営を絡めたロングな川旅に突入してもおもしろい。周辺には流域の伝統文化を楽しめる立ち寄り旅スポットも多数あり、滞在時間に応じて様々な旅の過ごし方ができるエリアである。

■伝統文化もまとめて楽しもう!

 今回の目的地である岐阜県の関市と美濃市は、名古屋駅から車で1時間ほどで行ける日本の伝統文化が色濃く残るエリアだ。両市ともに1300年以上の歴史を誇る「美濃和紙」の生産地であり、関市は「関の刃物」として有名で、700年にも及ぶ鍛冶師の技を受け継ぐ匠の街でもある。

 紹介するエリア内には「美濃和紙の里会館」があり、川下り中に上陸して美濃和紙の紙すき体験に興じるなんてオツなことをすることもできる。

 また、長良川に合流して少し行けば、風情のある「うだつの上がる町並み」の散策も可能だ。こういう観光地にはメイン目的地として行くのではなく、あくまで川旅の寄り道程度で行く方が気分が上がるというものである。

裕福な家にはうだつ(防火壁)が上がる

 関市の中心地にまで足を延ばせば、刃物にまつわる博物館や販売所が数多く存在している。極上ものの包丁、ナイフ、ハサミなどをお土産で買っていこう。

 このように、板取川下流域は伝統文化と対話をする旅が可能だ。もちろん、川自体の美しさももはや伝統工芸品レベルなので、それもひっくるめて「ああ〜日本に生まれてよかったー!」と叫ばずにはいられない旅となること請け合いである。