私はアウトドアコーディネーターとして働いたり、カフェを切り盛りするかたわら、カヤックのツアーガイドとしても活動しています。ツアーのフィールドは海辺や川原が多く、クライアントに提供する食事を作る熱源は、ほとんどの場合焚き火を使います。焚き火は火力さえ上手く調整すれば、様々な料理を作ることができます。ちなみに、流木がない時や雨が強い時は、バックアップで持っていくガソリンバーナーやガスバーナーを使うこともあります。

焚き火があれば、大抵の料理は作ることができる

 ツアーで焚き火を使って提供する食事は、白いご飯、お味噌汁、魚の一夜干し、おかず1品が基本。まるで定食のような構成で、アウトドア料理とは言い難いかもしれません。炊飯も湯沸かしも焚き火でやりますが、作っているところを見せずに提供して「はい、これが焚き火料理です」と説明しても、きっと誰もピンとこないでしょう。

 そもそも「アウトドア料理」、「焚き火料理」とは、どのような料理でしょう? アウトドア料理の企画を作りたいと仕事の依頼をくれる方々も、ぼんやりとしたイメージがあるだけで明確な答えを持ち合わせていないことがほとんどです。この仕事をして何年も経ちますが、人それぞれのイメージで成り立っている曖昧な定義の料理だなぁ、と毎回悩まされます。

■キャンプ場で作れるよう、焚き火台を使った手軽なレシピ

シンプルに炭火で焼くだけで不思議と美味しく感じる

 今年の春に『焚き火料理の本』(山と溪谷社刊)という本を作りました。当初、出版社から「焚き火料理の本を作りましょう」と依頼を受けてからは、とても悩んで、何度も打ち合わせを重ねてメニューを決めました。

 本音を言うと、いつものツアーでやるような直火でバンバン料理をするスタイルで、カッコいい料理を魅せたかった。ですが、それでは自己満足でしかないので、「焚き火がより楽しくなる料理の本」にしようと考えました。この本の「焚き火料理」は、キャンプ場で作れるように焚き火台を使った手軽なレシピ、をテーマにしています。そこでやりたかったレシピの1つが、この「スモーキーグリルドキャロット」です。