福島空港・あぶくま南道路の滝根(たきね)ICから車で約20分。福島県中通り地方の阿武隈(あぶくま)高原に位置する「あぶくま洞」は、長い歳月をかけて地下水がつくり出した幻想的な世界が広がる日本有数の鍾乳洞だ。

 あぶくま洞には、洞内の公開部約600mを40分ほどかけて巡る「一般コース」と、一般コースの途中から分岐する「探検コース」がある。探検コースは、一般コースに追加する形で楽しめるオプションコースで、冒険気分たっぷりの約120mを10分ほどかけて進んだのち、再び一般コースに戻ることになる。

 以前訪れた際には一般コースのみを楽しんだが、せっかくなら探検コースにも挑戦したかったという思いがあり、もう一度訪れることにした。

 本記事では、実際に訪れて感じたあぶくま洞の探検コースの魅力や入場する際の注意点について解説する。暑い夏にぴったりな涼しい鍾乳洞を探検してみたい人は参考にしてほしい。

■【気分は冒険家!?】探検コースでしか見られない鍾乳石や景色

曲がりくねった道を進んだり、はしごを使って上下に移動したりと複雑な道を進む場面が多い

 したたり落ちる地下水によって石灰岩が溶かされ、約8000万年という長い年月をかけて形成されたあぶくま洞。全長約4,218mを誇り、その一部がコースとして公開されている。鍾乳洞内は一年を通して気温が約15℃。夏にはひんやり感じるので、暑い日のアクティビティにぴったりである。

 洞内にある鍾乳石にはその造形にあわせて名前がつけられており、一般コースでは、巨大な樹木の形をした鍾乳石の表面がまるで凍っているように見える「樹氷」や、大きく流れ落ちる滝のような造形の「白磁(はくじ)の滝」など多種多様な鍾乳石が見られる。看板や音声などの解説付きの鍾乳石もあり、鍾乳洞の世界にじっくりと浸れる。

 探検コースは、狭い場所をかがんで進んだり、丸太のはしごや飛び石を渡ったりと、鍾乳洞を楽しみながら、さらに冒険気分を満喫できるのが特徴だ。

清らかな地下水を楽しめる洗心(せんしん)の池。その名の通り眺めていると心が洗われるような気持ちになる

 探検コースの見どころの一つは、コースの入り口付近にある「洗心(せんしん)の池」だ。この地下水は、大滝根山(おおたきねやま・標高1,192m)に降った雪が2年後に地表に流出し、再び石灰岩の地下に浸透して洞内を流れているのだそうだ。

 清らかな地下水が一面に広がる鍾乳洞らしい景色で、ライトアップされた地下水はキラキラと輝き、その名の通り心が洗われる気持ちになる。

 中盤では、四つん這いになって狭い道を進んだ先に、タケノコ状の小さな鍾乳石がかわいらしい「地底の精霊」と出会える。さらに、終着点付近には、低く垂れ下がる鍾乳石と床から突き出る石筍(せきじゅん)が圧巻の「せせらぎの間」があり、自然が長い年月をかけて生み出した力強さと繊細さが感じられ、思わず見入ってしまった。

 このほかにも、探検コースでしか見ることのできない鍾乳石や景観が数多くある。また、一般コースと違って鍾乳石の隙間を進むように曲がりくねったり、はしごを使って上下に移動したりと複雑でスリリングな道が多いコースだが、自然が形成した鍾乳洞をより間近に、かつダイナミックに体感することができた。

 探検コースのみの所要時間は約10分と短いため、体力にあまり自信がない方でも気軽に挑戦できるだろう。ぜひ探検コースを歩き、長い歳月をかけて自然が生み出した神秘的な世界を体感してほしい。

■探検のお土産にワインを購入できる

出口正面の売店では貯蔵ワインの販売も

 洞窟の出口正面にある売店では、あぶくま洞で貯蔵されたワインを購入できる。鍾乳洞内でじっくり熟成されたワインは、口当たりがなめらかで飲みやすいのが特徴だ。

 お土産として持ち帰り、その日の晩酌で味わえば、あぶくま洞で感じた壮大な景色や探検の余韻に浸れるだろう。