日本三大鍾乳洞の一つ、秋芳洞(あきよしどう)。山口県の定番観光地の一つであり、大人でも楽しめる日本最大級のスケールを誇る鍾乳洞だ。洞内は年間を通して約17℃で、夏は「天然のクーラー」が効いた最高の避暑地。一歩足を踏み入れれば、外の猛暑が嘘のようなひんやりとした別世界が広がっている。

 今回は、地上に広がるカルスト台地「秋吉台」から地下の「秋芳洞」へと続く、地球の息吹を感じるおすすめの攻略ルートを紹介していく。

■日本最大級の鍾乳洞「秋芳洞」とは

秋芳洞内を流れる川と広々とした舗装路

 山口県美祢市(みねし)にある秋芳洞は、総延長約11kmにもなる日本最大級の鍾乳洞。実際に歩ける「観光コース」は長さ約1km、高低差が40mあり、天井の高さはビル10階建てに相当するほど広大な空間もある。

 舗装されたコースは歩きやすく、途中に腰かけられる椅子やエレベーターも完備。体力に自信がない人や雨天時の見学であっても、無理なく巡れるのが特徴だ。

■秋芳洞の前に「秋吉台」を見るのがおすすめ

2月の野焼き後の秋吉台。広大な大地の様子がよくわかる

 天気のよい日は、先に「秋吉台」を散策してから洞内へ向かうのがおすすめだ。カルスト台地と呼ばれる独特な地形は、石灰岩でできた大地が雨水や地下水に数億年かけて溶かされてできたもので、その溶けた石灰岩が地下に流れてできたのが「秋芳洞」である。

 地上で無数の石灰岩を眺めたあと、洞内の巨大な空間に足を踏み入れると「あの岩が溶けてこの空間をつくったのか」と、地球の壮大な営みを感じられる。

 秋吉台の散策は無料で楽しめるが、ジオパークセンターであるKarstar(カルスター)から洞窟入口まで歩くと約15〜20分ほど。時間と体力に余裕があれば、ぜひ地上からスタートしてほしい。

■体力に自信がなくても大丈夫!  秋芳洞「1kmの王道散策ルート」 

高さ約20m、幅は約8mの岸壁の裂け目にある「秋芳洞正面入口」

 秋芳洞には入口が3つある。観光コースの両端となる正面入口と黒谷入口、そして洞窟の途中にあるエレベーター入口だ。スニーカーなど動きやすい靴と服装で訪れると散策しやすく、観光コース全体を快適に楽しめる。

 正面入口は岩壁の裂け目から形成された入口で、ここから黒谷入口へ向かう上りルートは高低差が約40m。左右の岩壁はすぐなくなり、縦横に広がる洞窟内部が姿を現す。

 夏はひんやりとした空気が心地よい。車椅子でも百枚皿のエリアまで進める広々とした舗装路が続き、見どころにはセルフ式の案内ボタンも設置されている。

 洞内で特に目を引くのが、水中の石灰分が沈殿して棚田状に広がる「百枚皿」や「千町田」。薄暗い空間でライトに照らされたその姿は神秘的で、今もなお成長し続けているという事実が途方もない時間を感じさせる。

秋芳洞内にある「百枚皿」。名前は100枚だが、皿状の地形が500枚以上棚田のように続く

 中間地点を過ぎると上りが急になり、空間も少し狭くなってくるが、手すりと途中のベンチが整備されているので、休憩しながら無理なく進める。その先には高さ15m、直径4mの鍾乳石と石筍(せきじゅん)が長い時間をかけて繋がった天然の造形物、日本最大級の石柱「黄金柱」が現れる。訪れた時には、 その迫力に思わず足が止まった。

岩肌がライトに照らされ黄色く見える「黄金柱」

 石灰の石筍である高さ約8mの「巌窟王(がんくつおう)」は2cm成長するのに500年かかるといわれている。洞窟内では、天井から伸びる鍾乳石と床から伸びる石筍がいまにも繋がりそうな場所も見られた。

左にくらげの滝のぼり、右に巌窟王。岩窟王は別名「ゴジラ岩」とも呼ばれる

 往復の所要時間は1時間〜1時間半ほど。帰り道は来た道とは違う角度から洞窟を楽しめ、時間を忘れて見入ってしまった。