4月22日、「EARTH DAY」のこの日、アウトドアブランド「マウンテンハードウェア(株式会社コロンビアスポーツウェアジャパン)」が「Keep Earth Awesome 素晴らしい地球をそのままに」をテーマとする環境啓蒙活動の一環として、都内でトークイベントを開催した。

 ゲストに招かれたのは、中部山岳国立公園内にある乗鞍高原(長野県松本市)を拠点に活動する「Raichi .inc」代表である藤江佑馬さんと、マネージャー&ガイドの山本拓郎さん。アメリカ、カルフォルニア州の「ジョン・ミューア・トレイル」を歩いた体験とともに、乗鞍高原での活動について語ってくれた。

 また、MCを務めるファッションモデルの七海さんは、乗鞍高原と山を挟んで反対側に位置する岐阜県高山市出身。共通点の多い3人のクロストークは、自然との対峙の仕方を考えさせてくれる内容だった。

■乗鞍高原の移住を機に気づけば多角的な事業を手がけるように

会場の「SANU NOWHERE」は、岩や植物を取り入れた自然が感じられる装飾が特徴

 トークショーの会場となった「SANU NOWHERE(サヌ ノーウェア)」は、地球を愛する人々が集うことをテーマとしたラウンジで、カフェやタコスレストランも併設している。

 今回のトークイベントのゲスト、「Raicho.inc」代表の藤江佑馬さんは、乗鞍高原に移住して宿泊施設「温泉の宿Raicho」のオーナーとなり、サステイナブルな地域づくりを目指し、宿経営のほか、アウトドアガイド、森の手入れ、若者も訪れるような観光プロモーション活動、カフェ「GiFT NORiKURA」の運営など多角的な事業を展開。

 こうした事業について、「都会ではお金を回すことが大切だけど、自分は“ワークフル”を追求」しているという。スタッフは若者が多く、年に2か月の休みを設定し、「旅をすること」を推奨しているのだとか。そんな「Raicho.inc」の働き方に惹かれて、移住し、スタッフになったのが山本拓郎さん。撮影についても学び、トークショーで紹介される「ジョン・ミューア・トレイル」ではカメラマンとしてたくさんの写真を残している。

サスティナブルな取り組みに注力する「Raicho.inc」

■松本・高山エリアを繋ぐ「信飛トレイル」の整備に携わる

6つのセクションに分かれた117kmの「信飛トレイル」

 藤江さんの拠点、乗鞍高原は中部山岳国立公園のなかに位置し、山を挟んで岐阜県が隣接している。この2エリアの活性化を図るため、松本市街地(長野県)と高山市街地(岐阜県)を繋ぐ横断ルート「信飛トレイル」を整備するプロジェクトが2021年からはじまり、藤江さんはそのプロジェクトの理事長を務めた。

 全長117kmにおよぶこのロングトレイルは、複数のセクションで区切られ、里山や国立公園の豊かな自然を歩きながら歴史や文化に触れられることが特徴。MCの七海さんも、ルートに含まれる故郷の高山市について、「街並みの雰囲気がいいし、朝市もあって地元民にも観光客にも親しまれている」と魅力について触れる。

 その「信飛トレイル」は2025年7月にオープンに至った。そのオープン前、ロングトレイルを整備する立場にあった藤江さんとしては、「ハイカーにとって憧れのロングトレイル、ジョン・ミューア・トレイルを歩いていないのはどうなのか?」と、本場アメリカのロングトレイルを体験しておくべきだと考えるようになる。こうして同年6月、藤江さんは「ジョン・ミューア・トレイル」への旅に出かけた。

「信飛トレイル」のマップも製作され販売されている
松本・高山エリアを結ぶ「信飛トレイル」

■18日間かけて「ジョンミューア・トレイル」を歩く

喜びもつらさも味わった18日間の旅の様子を説明する藤江さん

 「ジョン・ミューア・トレイル」は、アメリカ・カリフォルニア州のヨセミテ渓谷から本土最高峰のマウント・ホイットニーまで続く約340kmのロングトレイル。藤江さんを含めた4名で、18日間かけてこの長いトレイルを歩き通した。

 「日本の北アルプスなら山小屋があるし、いざとなったら下山できる。でもこのトレイルは入ると出るのが大変」と藤江さん。続けて山本さんが「でもここは、テントは(一定の規定はあるものの)どこでも張れて、良い場所があったら『ここにしよう』と早い時間からテントを用意する」と、自由度の高いトレイルの魅力に触れる。

会場には山本さんが撮影した写真がたくさん展示されていた

 毎日早朝から歩きはじめ、峠を越えて、幕営地を選んだら、遠い水場まで水を汲みに行く。こうした日々が「気づけば日常になってくる」と、藤江さんはじみじみ語る。人工物がなく、スマートフォンの電波も繋がらず、一人黙って歩くかときどき仲間と会話をしながら、「自然、地球と、自分の仲間と対峙することで、大切にしたいことがクリアになっていく」と感じるようになったという。

 また、「荷物は自分で背負うので、人生について必要なものはなんだろう?  と、必要なものがシンプルになっていく」、そして「この体験を通して、多くの人に自然との接点をつくりたい」と考えるようになっていった。

「ジョン・ミューア・トレイル」の旅で身に着けていたマウンテンハードウェアのジャケットも展示