■日本の田園風景の魅力を噛み締めつつ魚道へ

 松井田城趾から上木馬瀬砂防堰堤らせん魚道まではおよそ8km。筆者のブロンプトンは2段変速ですが、比較的起伏の少ない地形のせいかなんとかなりそう。

交通量も少なめでのんびりサイクリングにはうってつけ

 細い水路や田畑はまさに“日本の田園風景”といった風情。山深い自然ももちろん魅力的ですが、人の暮らしに隣り合うささやかな自然もいいものです。

これぞ日本の田園風景といいたくなるコースを進みます

 クルマでさっと通り過ぎるには惜しい、滋味あふれる光景で自転車をクルマに積んできてよかったとしみじみ感じさせてくれます。

■上木馬瀬砂防堰堤

 道中咲き誇る花を愛でるなどしながら松井田城址からブロンプトンをのんびり漕いで30分ほど、ついに「らせん魚道」に到着!

今回の旅の相棒はブロンプトンのCライン

 上木馬瀬砂防堰堤は、利根川水系烏川の支流のひとつである増田川に設置されたもの。堰堤は昭和33(1958)年に完成し、魚道は2004年の耐震工事の際に竣工しました。

 魚道を通る魚はアユやウグイ、イワナ、ヤマメ、カジカなど。訪れたときの川の水量は少なめでしたが、魚道にはどうどうと水が流れ、森に囲まれた堰の周辺には流れ落ちる水の音がこだまします。

上木馬瀬砂防堰堤。写真右のタワー型の構造物が魚道となる

 日本一を誇るらせん式魚道の高さは約10.4mで、約9mある増田川の上流部と下流の段差を5層の螺旋で結びます。アイスハーバー型と呼ばれる構造で、魚道の中間に魚が休める穏やかな流れを確保しているのが特徴とのこと。

 その他にも水の流れを安定させるために排水溝を設けるなど、日本一に相応しい工夫が随所に凝らされています。

残念ながら魚の姿を観察することはできなかった

 ぼんやりと魚道を眺めていると、首都高速の大橋ジャンクションと似ているような気がしてきます。大橋ジャンクションは螺旋状のタワーで、都心の限られた場所で高速道路を合流させるインフラ。

 スムーズに上下移動する仕組みは、魚もクルマも同じなんだな、と、考えてみれば当然のことに気がついたのも、この旅の収穫だったかもしれません。

魚道のそばには、2025年に閉校した地元・細野小学校の児童が描いた記念碑が設置されている

 魚が登る姿をこの目で見たいと螺旋の水流を凝視するものの、名前も知らない鳥がさえずるばかりで10分ほどでギブアップ。

 魚を見ることは叶いませんでしたが、この魚道が生まれた2025年4月に廃校となった地元の細野小学校の児童の描いた記念碑を見ることで満たされました。

■旅の仕上げは「上増田温泉 砦乃湯」

 自転車旅のお楽しみといえば温泉です。上木馬瀬砂防堰堤から自転車で10分ほどのところにある「上増田温泉 砦乃湯(とりでのゆ)」で温泉を楽しむことに。

「上増田温泉 砦乃湯」入浴料:大人800円(3時間)、子ども500円、営業時間:11時~19時(最終受付18:30)、定休日:水曜日

 源泉かけ流しの日帰り温泉で、内湯は源泉かつ加水・加温なし。大きな岩が印象的な露天風呂はその日の気温に合わせて加温しているとのこと。

砦乃湯へアプローチする道も雰囲気でています

 「砦の湯」近い増田川沿いの丘には、黄色い花を咲かせる福寿草の自生地があるのだとか。2月下旬から3月上旬にかけてが見ごろとのことなので、来年はぜひ福寿草を眺めに訪れたいと思わせてくれる場所でした。

 

●【MAP】上木馬瀬砂防堰堤(群馬県安中市)