日本最古の山小屋といえば、北アルプスの立山・室堂にある「室堂小屋」が有名(現在は文化財として保存されている)ですが、“日本最古の泊まれる山小屋”をご存知の方は少ないでしょう。
答えは、島々から上高地へと続く徳本峠にある「岩魚留小屋(いわなどめごや)」。約15年の休業を経た今、この山小屋を営業小屋として再生しようという興味深いプロジェクトが動き出しています。
◼️2028年に食事提供可能な営業小屋としての再開を目指す
岩魚留小屋は、宿泊定員約10名、テント約10張が張れる程度の小さな山小屋です。小屋所有者の体調不良や、台風の影響で小屋に至るルートが通行止めになっていた時期も重なり、現在は15年ほど休業状態が続いています。
そのような状況の中、南アルプスの千枚小屋で支配人を務めた経験もある塩湯涼さんが、歴史ある山小屋を残そうと「岩魚留小屋再生プロジェクト」を立ち上げました。
「2024年にご縁があって松本市安曇の島々地区に移住したのですが、そこで岩魚留小屋のオーナー・奥原さんが後継者を探していることを耳にしました。小屋の歴史や徳本峠クラシックルートを守っている人々の想いを知り、このまま岩魚留小屋を無くすわけにはいかないと思いたったことが、再生プロジェクトを立ち上げたきっかけです」
とはいえ、今から135年前、1891年に建築されたと考えられる山小屋は、まさに廃墟のような状態。建物は傾き、いつ倒壊してもおかしくありません。山小屋として営業を再開するためには、早急に手を打つ必要がありました。
「岩魚留小屋は建築当初の原型部分は健全なのですが、増築部分は土台が腐っている箇所があるので、修繕で済む部分と建て直しが必要な部分があります。再生に必要な費用は、安く見積もっても3,000〜4,000万円ほどかかりそうです」
塩湯さんたちは、岩魚小屋留小屋を整備して、食事提供可能な営業小屋として再開することを目指しています。2026年はトイレの整備、2027年は建物の本体工事や設備工事をして、2028年に営業を再開する予定だと言います。