◼️恩恵の裏にある脅威

 一方で、雨季に入ると雨との戦いが始まった。雨よけのタープテントを6張、ひとりで設営すると、トータルで準備に3〜4時間かかる日もあった。

雨は幻想空間になり、雨音の中の外気浴がむしろいい。自然は一面では語れないのだ

 増水判断も、この時期に確立した。毎日、天気予報と水位観測所のサイトとにらめっこ。雨量、風速、水位のデータを取り、実際の現場とすり合わせて、どこまでが安全で、どこからが危険かを徹底的に分析した。

近年無かったレベルでの増水も経験した

 自然は誰に対しても一定に優しく、そして容赦もない。だからこそ、穏やかな時のありがたさと恵みが際立つ。

 増水から数日後、水が引いた川は、川底が洗い流されて言葉を失うほど美しかった。まさに「パーフェクトクリアブルー」。営業的には大変だが、増水は川の大切なメンテナンスタイムなのだ。

激しい鞭があっても、この“極上の飴”が待ってるからたまらない

 夏の虫も覚悟していたが、蚊はほぼおらず、朝夕にアブが少し。環境土木で土壌を整え、蜘蛛が増えたことも影響しているかもしれない。地道な整備が静かに効いている。

水温の低い川のほとりなので夏でも涼しく、木陰も心地いい

◼️夏だからできた実験

 家族連れが来たときは、子どもが川で遊び、親は交代でサウナができるようにした。

 子供用のライフジャケット、網、箱めがねを用意し、ドンコの捕り方を教える。川で冷えたらサウナへ。サウナの使い方の答えは1つじゃない。子どもも大人も、いい顔で帰っていく。これもアウトドアサウナの1つの形だ。

大人も子どももストレスフル&デジタルデトックス。爽快な夏の記憶に

 テラスでのBBQもテストしたし、キンキンの円原川で冷やしたスイカやトマトも最高だった。自然は使い方次第で最高の演出家になるのだ。

季節に応じたリトリートを提案できるように、様々なテストをした

◼️そして、広がる評価

 夏も後半になると、このサウナ村「THE WATERS」の噂が広がり始めた。東京や大阪からも訪れる人が増え、サウナ業界の人も多く体験していってくれた。オペレーションも確立できたし、土地の癖やデータも取れた。

 ただ、ワンオペで体力は削られ、随分とヘロヘロになる時もあった。それでも、体験者の笑顔と「こんな場所を作ってくれてありがとう!」の声に支えられてなんとか頑張れた。でも、このままでは続かない。ちゃんと仕組みを作らなければ……。

 それも今後の課題だ。簡単じゃないからこそ、面白い。

実践の春、試練の夏。学びと感謝が交差する、素敵な日々だった