キャンプの夜、テントサイトでビールを楽しむキャンパーも多いだろう。最近ではクラフトビールも流行っており、仲間と持ち寄ったお気に入りの一杯を持参して飲み比べをする楽しみ方もあるようだ。今回はそんなときにあると便利な、炭酸飲料を携行できる容器「グラウラー」を紹介する。

 一般的には、水筒に炭酸飲料は内圧の上昇と破裂・噴出の危険があるためNGだが、どういった仕組みなのだろうか。

■グラウラーとは

密閉性に優れたグラウラーの蓋

 グラウラーとは、炭酸飲料を携行できる容器。なお、一般的な水筒では、以下のような理由から炭酸飲料は携行することができない。

・炭酸ガスが抜けてしまう
・水筒が内圧により破損の危険性がある
・持ち運びの際に吹き出す可能性がある

 この問題をすべて解決してくれるのが、炭酸飲料に適した水筒「グラウラー」である。素材はガラス、ステンレス、陶器などがあるが、現在は耐久性・保冷性に優れ、長時間鮮度を保てるステンレス製が主流となっている。開口部は注ぎ口とキャップが密閉できる構造になっているため、炭酸飲料を安全に持ち運べる。

 もちろん、水筒と同様に保温効果にも優れており、炭酸飲料以外も持ち運び可能だ。

■グラウラーの活用方法

グラウラーがあれば、大容量のビールを携行できる

 グラウラーの活用方法で最もポピュラーなのは、ビール醸造所(ブリュワリー)でのビールの量り売りだ。ビールの量り売りとは聞きなれないかもしれないが、昨今流行っているクラフトビールのブリュワリーは、缶や瓶だけの販売に限らず、グラウラーへ直接注ぐことによる量り売りをしてくれる場所も多い。

 100ml単価が決まっており、注文量を注いでくれる。クラフトビールフェスなどのイベントでも、店側が期限付酒類小売業免許さえ持っていれば量り売りしてくれるところもあるので、気軽に聞いてみるといいだろう。

 量り売りの利点は、好きな分だけ樽から直接注がれる新鮮なビールの鮮度を保ったまま持ち運びできる点だ。店頭で売られてる缶や瓶に詰められたビールも、たとえ賞味期限内であっても配送時の振動などによって徐々に鮮度は落ちていくため、できる限り早く飲むのがおすすめだ。

おしゃれなグラウラーだと、食卓でも存在感を放つ

■保冷効果について

 前述したとおり、グラウラーは水筒と同様に保冷効果にも優れている。しかし、ブリュワリーで醸造されたビールは必ずしも冷えているとは限らないため、保管はビールを注いだグラウラーごと冷蔵庫に入れておくこと。これは、他の炭酸飲料を携行する際も同様で、直射日光にあたる高温の場所にグラウラーを置いておくと、いくら保冷効果が高くても内部の温度は少しづつ上昇してしまう。

 日常で使用する際には、冷えた炭酸飲料を注げば問題ないが、キャンプに持っていく際には、当日の朝まで冷蔵庫に保管することをおすすめする。

■キャンプシーン以外の使い方

 普段、筆者がどのようにグラウラーを使用しているか参考までに紹介する。例えば旅行。グラウラーを持っていけば、旅先で知らないブリュワリーを見つけた際にビールを購入できる。クラフトビールの愛好家の間では、グラウラーへの量り売りは認知されているために、突然の来店でも対応してくれる場合が多い。

 もし周りにクラフトビールが好きな友人がいるなら、プレゼントとしても喜ばれる。販売されているビールは必ずしも1種類ではないため、複数のグラウラーを持ち歩き、購入していく愛好家も多い。飲み比べのために食卓に複数のグラウラーを並べていると、ビール好きはワクワクしてしまうものだ。

 もちろんビール以外の炭酸飲料でも持ち運びが可能だ。ペットボトルを何本も持ち運ぶよりも、グラウラーに移し替えて運ぶことで、荷物の量を減らせる。職場に炭酸水を持ち込むのもよし、ハイキングにエナジードリンクを携行するのもよい。グラウラーがあれば、キャンプ以外にも炭酸飲料を携行する選択肢が広がること間違いなしである。

■グラウラーに新しいワクワクを詰めて持ち歩こう

 クラフトビールが注目されている今、量り売りという新しい購入の選択肢が増えた。ビールをよりおいしく、新鮮に飲むためにグラウラーは欠かせないアイテムになりそうだ。

 検索してみると種類も豊富で、自分に合った容量や色を選ぶのも楽しいかも。グラウラーを日常に取り入れ、好きなときに新鮮なビールを楽しむ、そんな贅沢な時間をぜひ送ってほしい。