いつかアユ釣りをしてみたい。夏の陽射しが降り注ぐ川辺で、澄んだ流れに立ち込む釣り人の姿を目にして、そう思った方は意外と多いのではないだろうか。筆者もアユが大好物で、かねてより憧れは抱いていたものの、道具を揃えたり良い釣り場を探したりと、いざ挑戦するにはハードルが高く感じてなかなか実行できずにいた。

 観光のついでにアユ釣りを体験できたら、という思いとともに、アユという魚やその釣り文化への好奇心が次第に大きくなっていった。アユは「清流の女王」とも呼ばれるほど美しい川に棲み、川ごとに香りや味が違うことでも知られている。なかでも岐阜県を流れる長良川は、日本三大清流のいtつに数えられ、古くからアユ漁が盛んな場所だ。

 そんな長良川では観光客でも気軽に楽しめるアユ釣り体験や、約1300年の歴史を誇る伝統漁法「鵜飼(うかい)」の見学も可能だと知り、足を運ぶことにした。今回は、岐阜の清流・長良川で出会えるアユ釣りの魅力と、その奥深い楽しみ方を体験したので紹介したい。

■長良川の鵜飼見学

 「清流長良川のアユ」を獲る伝統漁法として最も有名なのが鵜飼だろう。長良川の鵜飼は1300年以上の歴史を持つ。とりわけ、長良川の鵜匠(うしょう・鵜を飼い慣らしてアユの伝統漁法を引き継ぐ人)は、国内で唯一「宮内庁式部職鵜匠」の肩書きを持つ格式高い存在とされている。

鵜飼の見学舟に乗船

 鵜匠たちは毎年5月11日から10月15日までの期間、ほぼ毎晩漁に出ているため、観光客はその漁法を船に乗って間近で見学することができる。日没後、合図として花火が4回上がると鵜飼漁が始まる。付近のホテルや旅館も灯りを落とし、川辺は闇に包まれる。そこへ、篝火(かがりび)を掲げた鵜舟(うぶね・鵜飼漁で使う船)がゆっくりと姿を現し、伝統装束に身を包んだ鵜匠が巧みに鵜を操る。

篝火を掲げた鵜舟が迫ってくる様は迫力満点だ
鵜を巧みに操る鵜匠の声、次々とアユを捕らえる鵜の動きの一部始終を間近で体感できる

 篝火の炎の熱気、鵜を巧みに操る鵜匠の声、次々とアユを捕らえる鵜の動きの一部始終を間近で体感できる迫力は他では味わえない。鵜匠が鵜に声をかける掛け声まで鮮明に響き、観客を一層非日常の世界へと引き込む。

 なお、鵜飼見学は乗り合いの観覧船に乗って楽しむのが一般的で、大人一人あたり3,500円(休日料金)。団体貸切りで食事付きなどのプランもある。観覧船は長良川沿いの複数の乗船場から出ており、岐阜市内の宿泊とあわせて楽しむ観光客も多い。

ぎふ長良川の鵜飼https://www.ukai-gifucity.jp

開催期間:5月11日~10月15日
*鵜飼休み(10月6日)、及び水等で鵜飼ができない日は中止
鵜飼時間:19時45分頃(イベント等により変動があります)開始
料金:大人3,500円、子ども1,800円
*休日の乗合船の場合