■汎用性を求めるなら、アライテント「さわやかパッド」

アライテントの「さわやかパッド」はバックパックに後付けできるパッドとしては、V.B.P.バックパネルの斬新さと比較すると特別な目新しさはない。
だが、昔からあるということは、それだけ多くのユーザーに支持されている証拠。筆者も実際に装着して山を歩き、その理由の一端を体感できた。
まず、バックパックにパッドを装着して背負った状態でもフィッティングに違和感がほとんどない。柔らかなパッドは必要以上に存在を主張せず、背中とバックパックの間の収まりがいいのだ。

バックパックの背面形状は、高いクッション性を備えた凹凸のはっきりしているものから、フラットに近いものまでさまざまだが、さわやかパッドであればどのバックパックにも柔軟に対応してくれる。
さらに登山の最中に外したくなった時も、小さく折りたたんで収納可能な点はV.B.P.バックパネルにはないメリットだ。

●さわやかパッドをもっと便利に使う一工夫

さわやかパッドを装着すると、確かに背中の蒸れが軽減される。だが、フレームを用いた構造で大きく空間を作るV.B.P.バックパネルと比べ、背中の密着度は高いため、涼感では一歩劣る印象だ。
また、装着するためのコードロックはショルダーベルトに固定する紐にしかないため、ウェストベルトに固定する紐は結ばなくてはならない。そのため歩いていると、いつの間にか解けてしまうことも少なくなかった。しかし、解けないように固く結んでしまうと、紐が細いため今度は取り外すときに苦労する羽目に。
そんなさわやかパッドをより使いやすくするため、筆者はウェスト部分の紐にコードロックを一つずつ追加した。
200円ほどの小さなコードロックのおかげで紐の長さ調整も容易になり、歩いているときに解けることもなくなった。さわやかパッドを利用する際にはぜひ試してほしい。
■背中を蒸れから解放して、快適な夏山登山を!

V.B.P.バックパネルとさわやかパッドは、バックパックと密着した背中を蒸れから解放してくれる。風が吹くたび、バックパックを背負った状態の背中を風が通り抜けていく。爽快の一言だ。日差しを避けられる樹林帯で涼しい風が吹いていると、汗が乾くのを実感できるほどだった。
しかし、注意してほしいのはあくまでも背中の通気性を高め、蒸れを逃がすアイテムだということ。パネルやパッドそのものが冷たいわけではない。
夏山を快適にする強い味方であることは確かだが、過信せずV.B.P.バックパネルやさわやかパッド以外にも熱中症対策をしたうえで、登山を楽しんでもらいたい。