■木々にこだまするレーシングサウンド

 SS2開始の前に、自然豊かな「アプトの道」をてくてく歩きながら観戦ポイントを探します。

 旧信越本線の跡地を整備したアプトの道の遊歩道は軽装でも歩きやすく、「旧碓氷峠鉄道施設群」として重要文化財に指定された「めがね橋」と呼ばれる煉瓦づくりの橋梁や、古き良き時代を感じさせる隧道(トンネル)を抜けながらハイキングを楽しめるスポット。

 晴天の真夏日でしたが、トンネルに足を踏み入れるとひんやり心地よい空気に包まれます。10ある隧道と、明るく美しい森が交互に続く小道を歩くだけで、すっきりとリフレッシュできます。

旧信越本線の隧道を歩くのもモントレー観戦の楽しみのひとつ

 ラリーが始まると、遠くからかすかに甲高い排気音や、タイヤが地面を鳴らすスキール音が聴こえてきます。音が近づいてきたかと思うと、突如コーナーの向こうから猛スピードのラリーカーが現れ、一瞬で次のコーナーへと消えていきます。

ヒストリックカークラスのカテゴリには、ポルシェ930やランチアデルタなど往年の名車が登場

 爆音が遠ざかると、再び周囲は木々を揺らす風と小鳥の鳴く声だけに。そしてまた次のレースカーが現れては深い森へと圧巻の猛スピードで走り抜けていく姿は、ここでしか味わうことのできない非日常感で満たされていました。

■観戦にはアウトドアギアが役立ちます

 モントレー2025のラリー観戦は自然のなかで行われるだけに、アウトドアアクティビティではおなじみのアイテムが役に立ちます。

アウトドア用フォールディングチェアを持ち込むファンも多数

 軽量で背負いやすいバックパックには、水分補給のための大きめの水筒、晴雨兼用の折り畳み傘、天候が急変しても対応できる3レイヤーのアウターシェル、ヘッドライトなどを用意しました。

 慣れた様子の観客は、コンパクトに折り畳めるアウトドアチェアを持参。くつろぎながらレースカーをのんびりと待つ姿が印象的でした。野外活動の知識や道具が役立つあたりも、アウトドア好きにはぴったりなモータースポーツだと感じました。

■ラリー終了直後に映画撮影のサプライズが!

 そしてSS2終了直後には、嬉しいサプライズが待っていました。ここ碓氷峠を舞台にした漫画「頭文字D」でおなじみのトヨタAE86と、日産シルエイティがドリフトターンで現れ、横川方面へと急加速しながらランデブーしていきます。

SS2とSS3の合間のごく短時間に行われたアーサー・スマエダ監督の新作映画「Drifters(仮題)」の撮影風景

 じつはこれ、アーサー・スマエダ監督の新作映画「Drifters(仮題)」の撮影の一コマで、シルエイティのハンドルを握るのは、安中市の観光大使でもあるドリフトエンターテイナーの下田紗弥加さんという、二重のサプライズでギャラリーを沸かせました。

「頭文字D」の名場面がリアル・ドリフトカーで再現され観客は大興奮

 大会関係者の話によると、「ラリーが無事終えられた場合にのみ、ごく短時間の走行が許可された」という、一発勝負で実現したもの。公道のため実現できるかどうか直前まで綱渡りの状態だったため、事前告知なしのサプライズとなったとのこと。

 ドリフトの聖地とも言える碓氷峠で、伝説的な車両が走行する姿を間近で見ることができ、会場からは大きな歓声が上がりました。映画の完成が今から待ち遠しいです。