静岡県中部、南アルプスの懐深くにある「畑薙(はたなぎ)」は、ツーリングやアウトドアファンの間で知られる穴場的なエリアである。特にバイク乗りにとっては、舗装林道が続く静かなワインディングロードを満喫できるスポットとして人気が高まっている。
畑薙までは、静岡市街地から国道362号、県道60号を経由して、およそ車で3時間。途中、井川ダムや奥大井湖上(おくおおいこじょう)駅といった観光スポットを横目に見ながら進むことで、ツーリングそのものが一つの旅となる。道中は交通量も少なく、山桜や新緑、紅葉といった彩りが季節ごとに楽しめる。
県道60号の終着点である「畑薙第一ダム」からさらに奥へと足を踏み入れると「畑薙大吊橋」が現れる。

■ツーリングの終着点にして、秘境の玄関口「畑薙」
畑薙第一ダムの駐車スペースに車やバイクを停め、そこから徒歩で約45分。畑薙大吊橋に向かうルートは、高低差も少なく、舗装された林道を歩いていく。道中には崩落や急登もなく、特別な装備は不要。そのため、体力に自信のない人でも気軽に歩くことができ、また自転車で進むこともできる。
加えて、大井川のダムに沿って林道が続いているため、道中に渓谷の絶景を楽しめ、自然の魅力をたっぷりと感じられるのが魅力だ。
林道は一般車通行禁止であるため、周囲に民家はなく、人の気配が少なく、聞こえるのは鳥の声や木々が谷風でざわめく音と自身の足音だけである。非日常を感じるにはうってつけのルートである。本格的な登山とは少し違うが、フラットな道を約45分歩くと秘境感満載の絶景と足がすくむようなスリルを体験できる。十分すぎるほど非日常を楽しめるので、ぜひ訪れてみてほしい。
