■もう歯で千切る必要なし

ケーシングもむきやすく進化した。マルハニチロが採用している「1秒OPEN」というケーシングは、掛け値なしに1秒でむけるから面白い。昔のケーシングはかなり開けにくくて、留め具のあたりを歯でかみ千切って開けたものだった。
ケーシングの色も、赤やオレンジだけでなく、中身が見える無色が増えた。昔、ギョニソは店先で販売されることが多かったため、直射日光による劣化を防ぐために、光を通しにくい色のケーシングを使っていたそうだ。今ではそんな店は見なくなったが、何もかもみな、懐かしい。
こういった地味な進化も、今のギョニソ人気につながっていると思う。
■ギョニソにはココナッツが合う

そんなギョニソは、どうやって食べたらおいしいのか?
本音を申せば、湯せんで温めてそのまま食べるのが一番なんだけど、それは間食シーンでのこと。食事の一品として出すなら、それなりに手を加えたい。
我が家でよく作るのは、ニンニクと唐辛子を利かせたオリーブ油でスライスしたギョニソを炒め、最後にココナッツパウダーを振りかける料理だ。ココナッツの香りがエキゾチックで、かつニンニクと唐辛子のパンチが利いており、副菜や酒のつまみにちょうどいい。
■ご当地ギョニソもあり

ジャガイモと合わせる「ジャパニーズポテト」もオススメしたい。カットしたジャガイモ(冷凍の皮付きフライドポテトが便利)とギョニソを油で炒め、塩コショウして粒マスタードを添えるという、いわゆる「ジャーマンポテト」のベーコンをギョニソに変えたレシピである。ギョニソは日本独自の食べ物なので、ジャーマンではなくジャパニーズポテトと名付けた。油をやや多めに使い、ジャガイモとギョニソをしっかり焼くのがおいしさのコツだ。
普通のギョニソでも作れるけど、「ベビーハム」を使うともっとウマい。ベビーハムは福岡県や山口県、広島県あたりの地域で売られている「ご当地ギョニソ」で、一般的なギョニソよりも太くて短く、すり身のなかにマグロのブツ切り肉が入っているのが特徴。ギョニソは食感が単調なので、ベビーハムのような混ぜ物入りの商品がもっと増えるといいと思う。

最後にギョニソのトリビアをひとつ。「アメリカンドッグ」というファストフードがあるけど、あの中に入っているソーセージは、じつはギョニソであります。今でこそ肉のソーセージを使った商品も出てきたけれど、もともとはギョニソがスタンダード。デパートの屋上で食べたアメリカンドッグは、妙においしかった記憶があるなあ。何もかもみな、懐かしい。