■クラフトビールとは

 小規模醸造所で作られたビールのことで、「工芸品(クラフト)」に由来してクラフトビールと呼ばれています。大規模ロットのビールと違い、様々な味わいや香りを持つビールがたくさんあって、飲み比べなども楽しく愛好家も多い。

●お話を伺った方のプロフィール

中嶋さん(左)とPEKOさん(右)

中嶋さん
高校卒業後バーテンダーに憧れ上京。その後地元の新潟県見附市に戻ってバーを開業。ある時「BrewDog」のクラフトビールの美味さに衝撃を受け、「MITSUKE Local Brewery(MLB)」を設立。

PEKOさん
女性8人からなる「GOOD MELLOW CAMP」でSNSを中心にキャンプや登山の魅力を配信するインフルエンサー。MLBでオリジナルのクラフトビールを製造し、イベントなどで販売中。

■クラフトビールの作り方

クラフトビールの素材
:軟水と硬水でビールスタイルに違いが出る
麦芽(モルト):ビールの主原料。主に発芽させた大麦を使う
酵母:アルコールと炭酸ガスを作り出す微生物
副材料:フルーツやスパイスを入れて香りをプラス
ホップ:苦みや爽やかなフレーバーをもたらす

●STEP.1 麦芽粉砕

 麦芽が糖化を行いやすくするために粉砕する作業。外皮もフィルターとして作用するため粗く、内部は糖化が進行しやすいよう細かく砕く。

●STEP.2 糖化

 粉砕した麦芽と65℃程度の温水を混ぜて、麦汁を作る。酵素がはたらいて麦芽のデンプン質が糖に、タンパク質はアミノ酸に分解される。

麦芽と温水を入れて麦汁を作るブリューハウス

●STEP.3 煮沸

 麦汁を濾過し、液体のみを取り出して煮沸釜に移す。麦汁を100℃で1〜2時間煮沸する。ここでホップを加えることが多い。

●STEP.4 冷却

 煮沸が終わった麦汁は酵母が発酵できる温度まで冷ます。エールは20℃前後、ラガーでは10℃前後。

●STEP.5 発酵

 発酵タンクの麦汁に酵母を入れると発酵がはじまる。上面発酵では4〜5日、下面発酵では10〜12日ほどである。

●STEP.6 熟成

 その後貯蔵タンクで上面発酵で2週間、下面発酵で1か月かけて後発酵および熟成期間が終わるとようやくビールの完成!

発酵を行う発酵タンク。このなかにおよそ3週間から1か月間入れておく

■クラフトビールの代表的な種類 ポイントは大別して2種類!

 クラフトビールの種類は今現在も増え続け、その数は2,000種類を超える。しかし大別して2種類に分けられ、それは発酵方法によって区別される。

●上面発酵( エール系)

 常温(20℃前後)で発酵させる製造方法。香りなどの成分が多く含まれ、よりクラフトビールらしい香りと味わいになる。

・アルト
ドイツのデュッセルドルフの伝統的なビール。苦味が強く、ホップのアロマとモルトの甘味のバランスがいい。

・ヴァイツェン
大麦ではなく、小麦麦芽を50%以上使う。苦味は少なく優しい味わい。クローブのような香りが特徴だ。

・ペールエール
柑橘とフローラルな香りがあり、モルトの甘みが感じられる程よい飲みやすさ。ホップ由来の苦味も感じられるスタンダードなビール。

・ホワイトエール
オレンジピールとコリアンダー、麦芽化していない小麦を加えたもの。柑橘とスパイシーな香りがあって甘い。

・セゾン
ベルギー南部で昔から飲まれている。ハーブ、スパイス、フルーツの香りをミックスしていながら爽やかな風味。

・IPA
クラフトビールの定番。ホップをたっぷり使って苦味がありながら、オレンジなどの柑橘で香り豊かな味わいに。

●下面発酵(ラガー系)

 低温(10℃前後)で発酵させる製造方法。発酵に伴う副産物が少なく、すっきりとした味わい。普段我々が口にしている大手メーカーのビールはこの製造方法。

・ラオホ
燻製した麦芽を用いたビール。燻製の香りがクセになる。ラオホとはドイツ語で「けむり」の意味だ。

・ピルスナー
日本の4大メーカーが作る我々も飲み慣れているものがコレ。色は黄色。麦の甘みがあり、喉越しも爽快で苦味のキレがいい。

・ヘレス
麦芽の風味が存分に感じられるビール。苦味が少なくライトな味わいなので、ビールが苦手な人も飲みやすい。

■オススメ! シチュエーション別のビアスタイル

●温泉・サウナ後に:ピルスナー

喉越しすっきりして爽快。汗をかいたあとに飲みたい!

●雪山で飲む:ペールエール

食事をしながら非日常の贅沢な気分に浸りたい!

●金曜の仕事終わり:IPA

ホップを多めに使った香り高いビールで気分も高揚

●友達と一緒に楽しむ:ホワイトエール

柑橘の香りでフルーティ。苦味が少ないから飲みやすい