北アルプスの山麓に10のスキー場が集まる長野県の「HAKUBA VALLEY(白馬バレー)」。多彩なコースバリエーションに加え、ロケーションもすばらしく、5月上旬まで雪が残る一大スノーリゾートだ。そんな「HAKUBA VALLEY」の行き帰りに立ち寄りやすい3か所の「道の駅」をセレクトし、それぞれの特徴を紹介していきたい。夏に比べれば野菜などの農産物は少ないが、冬には冬の魅力的な特産品がある。そして、長野県の代表的な郷土料理「おやき」についても道の駅ごとに個性があり、その違いもレポートしたい。

■アットホーム感に心が安らぐ「道の駅 小川村」【小川村】

農産物や特産品が売られている道の駅内の「さんさん市場」

 長野市と「HAKUBA VALLEY」を結ぶ“オリンピック道路”と呼ばれるルートの中間点あたりに位置する小川村。この村にある「道の駅 小川村」は、農林産物直売所「さんさん市場」、コンビニエンスストア、「食事処 味菜」が並んだコンパクトなところだが、ここならではの魅力が満載だ。

 「さんさん市場」で売られている特産品の多くは、「農の花」という企業組合が故郷の伝統食を守り手づくりしたもの。村の女性陣が食品製造を支えているのだ。気になる商品があればどんなものなのか教えてくれるし、「こうやって料理するおいしいよ」なんてアドバイスもしてくれる。

手作りの温かみが感じられる「道の駅 おがわ」【小川村】

■手作り感のある「おやき」

おやきは、その日に作って販売しているので夕方には品薄になり売り切れていることも

 道の駅自慢の「おやき」は、化学調味料などを使っていない無添加のもの。具材に使われている味噌も自家製だ。このため賞味期限も短く、商品ポップに「本日中にお召しあがりください」と大きく書かれている。

 おやきの種類は野沢菜や大根、あんこといった王道のほか、青菜や野沢菜ミックスなどがある。1個ずつパッケージされて売られ、価格も200円とリーズナブルだ。

たくあんなどの漬物は合成着色料や化学調味料不使用。昔懐かしい手作りな味わい
杵つき餅は人気商品のようで、ひと臼分(5~6枚入り×12パック)の注文も受け付けている

 たくあんなどは手作りしたもので、余分なものは入れず、塩、砂糖、麹のみで味付け。自然の色と風味を楽しめる。長野県の一等米を使った杵つき餅は、赤もろこしという雑穀、よもぎ、キビ、古代米、白餅などがあり、赤、緑、黄色、紫、白ととってもカラフル。商品のパッケージはシンプルながら、どの商品も見ていて楽しく、つい手が伸びてしまう。

 小川村の道の駅で手に入る商品は、地域ならではの家庭の味が感じられ「特産品って本来はこういうものだよね」とほっこりとした気持ちになる。

冬の道の駅には、さまざまな品種のりんごがたくさん並ぶ。都心のスーパーよりも安いかも
冬は加工食品が充実「さんさん市場」

■何度もリピートしたくなる「食事処 味菜」

熱々で運ばれてくるからあげ定食。よく漬かった野沢菜やたっぷりの具のみそ汁、小鉢が付いてくる

 「食事処 味菜」の食事を作るのも村の女性陣。店に入ると「寒いから奥の席を使って」と気遣ってくれるのがうれしい。

 メニューはサバの味噌煮、しょうが焼き、からあげなどの各種定食のほか、手打ちそばやうどんなど。信州オレイン豚のとんかつは、定食、ソースカツ丼、カツカレー、おろしとんかつなどバリエーションが多い。天丼は時期によって内容が変わり、春はタラの芽などの山菜が入っていることもあり、注文するたびに楽しみがある。

 また、少々時間がかかるが、冬は熱々のなべ焼きうどんもはずせないメニュー。このほか、富山湾直送の新鮮魚介を海鮮丼や刺身定食などで味わえる。

「食事処 味菜」の建物に入ると小さな売店があり、左に向かうと食事処がある

 1998年の長野冬季オリンピックに向けて、バイパスとして整備された「オリンピック道路」は、1995年に開通。本式名称は「白馬長野有料道路」という。開通から30年を経てこの有料道路の料金徴収期間が終わり、2025年2月16日の午前0時をもって無料化となった。小川村を抜けるこのルートは、今後ますます活性化していくことが期待される。

ボリューム満点料理がうれしい「食事処 味菜」