■疲れた体と足にこたえる! 油断禁物のお帰りルート
昼食を終え、二本滑り、車を停めた場所に戻るお帰りルートへ。今回我々が滑ったエリアはいろいろと選択肢はあるのだが、駐車場に戻る場所は一本。結果、多くのスキーヤーやスノーボーダーが通り、雪面状態も悪化してきた。「足が疲れているので、無理せずゆっくり進みましょう」とガイドが声をかけ、慎重に滑り降りていく。
しばらく進むと沢に差し掛かった。今年の北海道はシーズン当初こそ雪が少なく雪不足が心配されたが、終わってみれば例年並みの積雪となった。しかし、それでもお帰りルートの沢の一部は雪は薄い。右手側には水が流れ、少しでもバランスを崩せば落ちてしまいそうだ。
ガイドは「ここからはより慎重に行きましょう。声を掛けたら進んできてください」と、要所要所で止まりながら進む。「ここの沢はどんなに雪が多くても完全には埋まらない。過去に沢に落ちて川に流されてしまい亡くなった方もいるので、危険なんです」と教えてくれた。いくつか難所を越え、無事全員車まで戻りこの日のツアーを終えた。
■ケガをせずに、条件のよい雪を満喫するためにプロガイドに依頼しよう
今回ツアーに参加し、プロガイドの重要性を再認識した。積雪が少ない、気温が高いといったさまざまな不利な条件下であっても、ゲストが満足できるよい条件の斜面を選択できる引き出しの多さはまさに知識と経験の賜物だ。

といっても、楽しい時間を提供しつつも、ゲスト全員が安全に戻ってこられるように細心の注意も払わなければならい。夏の地形がどうなっているのか、どのような危険個所があるのか、すべてイメージ&予測ができてはじめて安全に誘導できるのであり、これは付け焼刃の素人ガイドでは到底無理な話なのだ。
もちろん参加者の意識も大切で、当然、今回の参加者は全員ビーコン、スコップ、ゾンデ棒といったバックカントリーを楽しむために必要な最低限の用具を各自持参していたが、ただ持っているだけでは意味がない。いざとなった時にスムーズに道具を使用できるよう、日頃のトレーニングを重ねる必要がある。ぜひ皆さんもタイミングを見つけて、道具のトレーニングをしてみてほしい。

2024-25シーズンは全国各地で遭難のニュースが相次ぐ。北海道では1月末時点で昨季の約2倍の38人が遭難し、その9割にあたる34人がバックカントリーだ。スキー場のような管理されている場所ではない、自然の舞台でスキーヤーやスノーボードを楽しむ場合は単独行動は避け、経験豊富なプロガイドなどと行動をするのがベスト。ただし、それでも絶対はありえないことを頭に入れ、自分にできる安全対策はしっかり行うことを忘れずに。
自分たちだけでは到底辿りつけない、その日最高の条件の斜面での滑走が楽しめるプロガイドのツアーに参加し、思い出に残る一本をぜひ刻んでほしい。