4月27日、長野県松本市の上高地で、2026年の観光シーズの開幕を告げる「上高地開山祭」が行われた。会場となるのは梓川に架かる河童橋のたもと。朝から雨が降り、指先がかじかむような冷え込みのなか、たくさんに観光客が集まり、橋の上まで人であふれかえっていた。
■観光シーズンの幕開けを祝う
開山祭は今回で56回目。11時開始に先立って、アルプホルンの演奏が行われ、上高地に美しい音色が響き渡る。その後、開式の言葉を述べられると、穂高神社の宮司による神事が執り行われた。
会場には装備をしっかり身に着けた登山者から、高原レジャーを楽しみに来たカジュアルな観光客までさまざまな人が集まり、祝詞をあげる際には皆も頭を垂れて、ともに山の安全を祈願。その後、国や県、市などの自治体関係者、宿や観光関係者などが玉串を捧げた。
■上高地の現状を知る機会も
上高地町会長であり開山祭実行委員長の小林清二氏の挨拶では、「どうぞ風邪などひかぬように」と冷え込むなか祭事を見守る人を思いやる。そして、「上高地は昨年11月15日に閉山し、約6か月の冬の眠りから本日、今シーズンがはじまる」と、上高地の夏の観光シーズンのスタートを告げた。「暑い夏が予想されるが、上高地はとても涼しいのでぜひお越しいただければ」と上高地の魅力を伝える。
現在の上高地では、徳澤~横尾間で新しい管理用道路や橋の架け替えなどが進んでいる。松本市長の臥雲(がうん)義尚氏の挨拶では、現在、国のさまざまな機関と調整して、上高地の管理運営について本格的にあたっていること、「新たな橋の整備が来年度に着手するところまできている」ことなどが説明された。そして、上高地に通じる県道の「上高地公園線」が土砂や雨で交通規制があることを鑑みて、新トンネルの必要性を求め、「本年度、調査に着手することになった」ことが知らされた。
■鏡開きや獅子舞など見どころも多い
今シーズンの無事と安全を祈願した樽酒の鏡開きでは、柄杓に汲んだお神酒を梓川の上流側と下流側に注いで奉納。また、獅子舞の奉納では、笛と太鼓の演奏とともに、獅子頭を着けた演者が観客近くまで寄ってくる。御幣と神楽鈴を手にした獅子舞も披露し、来訪者たちを楽しませてくれた。
開山祭が終わるころには雨がやみはじめ、来場者たちは樽酒のふるまいをいただきながら、それぞれ上高地の観光へと向かっていった。
■安全面の配慮が高まる上高地
近年の上高地は、インバウンドの来訪が増え、市によると昨年の来訪者は約166万6800人の観光客が訪れたという。この数値は、安曇村が松本市に合併してから20年で過去最多。世界からも注目度が集まる上高地では、より安全に、より快適に山岳リゾートを楽しめるよう、さまざまな取り組みが行われていることが開山祭から感じられた。閉式でも、「今シーズンの上高地が平穏なものになりますよう」という願いの言葉で締めくくられた。
こうした開山祭の様子は、上高地公式YouTubeチャンネル「GREENTRAIL」からも見ることが可能。このサイトでは、上高地の最新情報を発信しており、季節ごとの美しい映像を楽しめる。