富山県、岐阜県、長野県、新潟県にまたがる北アルプスは、標高3,000m以上の山々の多くで構成される巨大な山脈。登山者が憧れる山々が集まっているため、多くのハイカーたちで賑わっている。

 北アルプスの一峰である常念岳(じょうねんだけ・標高2,857m)は松本市、安曇野市方面から北アルプスを眺めた際、ピラミッド型の山が競り上がっているのが印象的な山だ。高峰が連なる北アルプスの中でも難所が多くコースタイムの長い槍ヶ岳や穂高などに比べて比較的アプローチがしやすく、北アルプス入門としても人気がある。

 常念岳登山はコースタイムが長いものの、途中の山荘を利用して1泊2日で日程を組めば、1日目は約4時間半、2日目は約5時間の行程で臨める。穂高連峰や槍ヶ岳など、北アルプスの山々でのテント泊登山が不安な登山者でも、北アルプスのテント泊登山入門として常念岳は最適とも言える。

 今回は、常念岳を目指す1泊2日の登山の魅力を紹介しよう。

■一ノ沢登山口から常念小屋へ

 常念岳を目指す登山口はいくつかあるが、ここでは一ノ沢登山口からスタートするコースを紹介する。一ノ沢登山口にはトイレが備えられているので、ここでしっかり準備を整え、登山届を出してから出発しよう。

 一ノ沢登山口の手前1km付近に登山者用駐車場があるが、夏の登山シーズンは混雑する。安曇野市内の穂高神社の南側駐車場が登山者専用となっており、約180台停められるのでここを利用するのをおすすめしたい。

 穂高神社南側駐車場は長野自動車道・安曇野ICから30分程度で、ここからはタクシーを利用して一ノ沢登山口へ。

<登山ルート>
・1日目(4時間35分)
一ノ沢登山口→(1時間15分)→王滝ベンチ→(2時間)→胸突八丁→(1時間20分)→常念小屋
・2日目(4時間55分)
常念小屋→(1時間)→常念岳→(45分)→常念小屋→(1時間)→胸突八丁→(1時間20分)→王滝ベンチ→(50分)→一ノ沢登山口

一ノ沢登山口から登山開始
一ノ沢登山口からのコースは川沿いの道を進む

 一ノ沢登山口からのコースは川沿いの道が続くので、せせらぎの音を楽しみながら進もう。休憩時に冷たい川の水で顔や手足を濡らすと気持ち良い。

 川沿いの道は王滝ベンチを経由して、2時間15分ほど続く。適度に休憩を挟みながら自分のペースで進もう。途中、川沿いでランチ休憩するのもおすすめだ。

胸突八丁からは急な道が続く
急な階段が続くので、しっかり休憩を入れよう

 一ノ沢登山口から1日目の目的地「常念小屋(じょうねんごや)」までは標高差が1,140mほどあり、この高度を自分の足で稼ぐ必要がある。登山口から2時間15分地点にある「胸突八丁(むなつきはっちょう)」までの標高差は600mほど。

 胸突八丁からは一気に500mほどの標高を駆け上がる。ここからは急な階段が続くので、しっかり休憩を挟んで臨もう。途中、急登の道の脇には「お花畑」と呼ばれるほど色とりどりの花が咲いている。急な坂が続き体力的にしんどいコースだが、花を愛でながら踏ん張って登ろう。

常念小屋のテント場からは槍ヶ岳や穂高連邦などの山々が眺められる

 胸突八丁から頑張ること1時間20分、この日の目的地、常念小屋にたどり着く。コースタイムは登山口から4時間35分だが、休憩を挟みながら登ったので筆者らは5時間15分ほどかかった。

 常念小屋では山小屋泊とテント泊、各々のスタイルに合った宿泊ができる。筆者はこの日、常念小屋で北アルプステント泊デビューを飾った。テント場からは雲海の向こうに槍ヶ岳や穂高連峰といった多くの登山者が憧れる山々が眺められる。

 いつか登りたいと憧れを募らせながら、夕食をとり就寝。2日目に備えてしっかり体を休めよう。