■整備された登山道を歩いて国師ヶ岳へ

一段一段が低いので、下半身への負担が少ない階段

 大弛峠の登山口にあるのが、大弛小屋(おおだるみごや)だ。土日祝日を基本に営業しており、喫茶売店があり、宿泊のほかテントサイトもある。

 小屋を過ぎると整備された登山道が現れ、快適な気候の中、シラビソの樹林帯歩きとなる。全体的に勾配は緩やかで、一部の急な区間も階段が設置されており、危険を感じることなく歩ける。階段は一段一段の間隔が低く、下半身への負担も少ない。

 登山口から約40分で前国師岳(まえこくしがたけ・標高2,570m)に到着する。これから登る北奥千丈岳や富士山の眺望を楽しめる。

前国師岳から望む北奥千丈岳と富士山

 前国師岳からは起伏が緩やかになり、平坦な区間も多くなるので心肺に負担をかけずに歩くことができ、周囲の樹林帯や眺望、鳥の鳴き声などを楽しめた。

 前国師岳から5分ほど歩いたところで、国師ヶ岳方面と北奥千丈岳への分岐に差し掛かる。どちらから登ってもよいが、筆者は国師ヶ岳からを選択。前国師岳からは15分もかからずに国師ヶ岳に到着する。

国師ヶ岳の山頂標識。奥には富士山が見える

■奥秩父最高峰・北奥千丈岳へ

国師ヶ岳と北奥千丈岳に向かう分岐点

 国師ヶ岳から北奥千丈岳までは15分。通ってきた登山道を戻り、分岐点から北奥千丈岳へと向かう。分岐点から緩やかな登りを約5分ほど進むと到着だ。

 北奥千丈岳からは南アルプスの眺望が広がり、金峰山の山頂のシンボル、五丈岩(ごじょういわ)も確認できる。

山の稜線にポコっと尖っているのが、金峰山のシンボル「五丈岩」だ

 山頂周辺のスペースは広くないが、腰を掛けるのにちょうどよい岩があるので、ぜひ眺望を楽しもう。標高が高いので夏でも涼しく、筆者が訪れた7月下旬は快適だったが、朝晩を中心に寒さを感じることもあるので防寒着は必ず持ってでかけよう。

 冒頭でも紹介した通り、北奥千丈岳は標高が2,601mあり、高山である。それにも関わらず1時間20分ほどで登頂でき、2時間もあれば登山口まで戻ってくることができる。急登や危険箇所もないのでこれから高山へチャレンジしてみたいと思っている人にもおすすめだ。快適な気候の中、初心者でも楽しめる奥秩父最高峰へと出かけてみてはどうだろうか。 

 

〈登山ルート〉
大弛峠⇒(40分)⇒前国師岳⇒(15分)⇒国師ヶ岳⇒(15分)⇒北奥千丈岳⇒(10分)⇒前国師岳⇒(35分)⇒大弛峠

●【MAP】大弛峠

〈アクセス〉
中央自動車道・勝沼ICからフルーツライン、クリスタルライン経由で約1時間45分(42.4km)