■いよいよオハイの絶景へ
展望を楽しんだあと先ほどの分岐まで戻り、中道方面の尾根を下る。分岐からオハイまでは70分ほどで、ルートはほぼ下りだ。
尾根を下り切ると「古田(ふるた)」と書かれた手作りの道標のある広く平らな場所に出る。ここから登山道が谷筋に変わる。谷筋を下っていくと、いよいよオハイとの最終分岐点に出る。
分岐点には「大配 ohai(20分)」と書かれた道標が立っているので見逃さないように注意しよう。分岐を見逃すと周回しながら九鬼の漁村に戻ってしまう。道標に従って谷沿いを下り、樹林帯を抜けるとついにオハイへ到着だ!
オハイに着いてまず目に入るのが、山側の登山道から湧き出た沢の水が、岩の上を伝って目の前の広大な海へ流れていく光景であろう。太陽の光を浴びてキラキラと輝く水が山から海へと伝っていく様子を見ながら、筆者は山頂で見た「山は海の恋人」という言葉を思い出していた。豊富な山の栄養を含んだ水が直接海に注がれ、海が潤う。海にとって山が大切な存在であることを実感した。
広い岩の上を海に向かって右側方向へ歩いて行くと、断崖絶壁のような場所に出る。断崖絶壁の真下には「オハイブルー」と呼ばれるコバルトブルーの海が広がっている。
三重県には海が見える山はたくさんあるけれども、登山歴9年の筆者もこれほど美しい海の景色を見たのはオハイがはじめてである。ただし、手すりなどはないので足を滑らせて落ちないように注意しよう。
帰路は先ほどの分岐点まで戻って中道を2時間ほど西に進むと、別の登山口がある九鬼の漁村に戻る。この登山口から直接オハイを目指すピストンコースの場合は、片道2時間半ほどだ。
■九鬼の漁村にある案内所を上手に利用しよう
九鬼中学校の駐車場から5分ほど歩いた場所に「けいこの小さな山の家」と看板が掲げられた建物がある。1階がオハイ周辺の山の案内所、2階が無料の休憩所になっておりオハイのビジターセンター的な存在である。1階の案内所には頂山やオハイの地図、九鬼の漁村のカフェなどのおすすめ情報が掲示されているので、ぜひ登山前後に立ち寄ってみよう。
オハイまでのアクセスは、大阪市中心部から高速道路を利用して3〜4時間ほど。最寄りの紀勢自動車道・尾鷲北ICから車で20分ほどかかり、車でのアクセスが必須な場所である。週末になると午前中には駐車場が埋まってしまうので、早めの出発がおすすめだ。
登山口からオハイまでは山中の道を歩いて行くため、途中、自動販売機や売店は一切ない。登山道は整備されているとはいえ、足元は滑りやすいのでトレッキングシューズの着用が望ましい。飲食物や防寒対策などの持ち物を整え、安全に配慮して登山を楽しもう。また、登山口までは九鬼の漁村内を通過するため、マナーを守り地元住民に迷惑をかけないように注意を払って歩こう。
知る人ぞ知る絶景の秘境「オハイ」に、ぜひ一度訪れてみてはいかがだろうか。あまりの美しさに感動すること間違いなしだ。
【今回紹介したおすすめルート】
九鬼中学校駐車場〜頂山登山口〜林道出合い〜頂山山頂〜中道分岐〜ハカリカケ岩〜中道分岐〜古田〜オハイ分岐〜オハイ〜オハイ分岐〜中道〜九鬼中学校駐車場
所要時間:約5時間30分(休憩を含まず)
・九鬼中学校駐車場→頂山山頂:約1時間40分
・頂山山頂→ハカリカケ岩:約20分
・ハカリカケ岩→オハイ:約1時間30分
・オハイ→中道経由→九鬼中学校駐車場:約2時間