■高温こそ正義! と思っていた迷走時代
初めてテントサウナに入った時のことをよく覚えている。ストーブにはサウナストーンがのっており、自分でロウリュ(水をかけて蒸気を発生させる)が可能なものだ。テント内は80℃と熱めだったのにもかかわらず、熱さにも耐えられるし、息苦しさもなく、長く入っていられて見事に“初ととのい”を体験した。
以来、僕はテントサウナの世界にハマっていった。でもその時は、なぜそんなに居心地が良かったのかを理解できていなかった。
その後、自分でテントサウナを始めると、「よっしゃ! 温度が120℃超えたぞ!」とか、冬は「くそう! 75℃までしか上がらない! これじゃ、ととのえねぇ! もっと、もっと高温をぉぉ!」と、完全に温度に踊らされるようになった。当時は判断基準が温度しかなかったから、いわゆる“温度至上主義者”になってしまっていたのである。
しかし、しばらくしてからようやく気づいたのだ。大事なのは高い温度よりも、温度と湿度のバランスだったことに。
■湿度が大事なフィンランド式サウナ
日本式ドライサウナは、室温約80〜110℃で湿度約10〜15%。一方、フィンランド式サウナと呼ばれるものは、室温約70~80℃程度で湿度が20~30%ほどのもの。僕がテントサウナで感動したものは、フィンランド式サウナだったのだ。近年ではサウナブームもあり、日本のサウナ施設でもフィンランド式サウナが増えてきている。自分の好みに合わせてサウナを選べる時代になってきているのだ。
湿度が高いと、まず肌あたりが良くなって息苦しさも緩和され、髪にも優しい状態になる。しかも、空気中の水分が熱を纏っているため、室内温度が低めでも体感的に心地いい熱に包まれる。長く入っていられることで、体は芯から温まっていく。その状況でロウリュをしてさらに蒸気を発生させることで、自分好みの温度&湿度に調整することも可能なのだ。
サウナはただ温度が高ければいいってものじゃない。今までサウナが苦手だった人も、温度と湿度のバランスを重視するフィンランド式を体験してからサウナにハマっていく人が多いのだ。特にテントサウナでのフィンランドスタイルは、ゆっくり入って室内で長くおしゃべりができるため、女性からの人気も高い。
フィンランドでは「女性が一番美しいのはサウナを出た後の一時間」という格言があるほどで、肌もウルウルツヤツになるというおまけつきだ。