ギザギザの岩峰が遠くからでも目を惹く群馬県の妙義山。かつては修験道の修行の場であった。岩峰が連なる山容は登山者の憧れだ。とはいえ、縦走路などは最難関コースのため、一般登山者は足を踏み入れることができないルートも多い。そんな妙義山の新しい楽しみ方ができる場所がオープンした。

■「山の日」にオープンした「富岡市妙義ビジターセンター」

ビジターセンターの外観。中央の塔のようなガラス張りの部分が3階展望ラウンジになっている(撮影:笹田けいこ)
展望ラウンジから白雲山を正面に望む(撮影:笹田けいこ)
山の雑誌や漫画本、妙義山関係の出版物などを1階テラスや3階展望ラウンジで椅子に座って読むことができる(撮影:笹田けいこ)

 妙義山の麓に「富岡市妙義ビジターセンター」が、今年8月11日にオープンした。以前は「富岡市立妙義ふるさと美術館」だった場所が、妙義山の観光・登山・歴史・芸術などの情報発信をする「ビジターセンター」としてリニューアルされたというので、早速訪れてみた。

 エントランスでは妙義山の通行止め箇所などの登山情報や、近隣の観光情報が提供されている。

 1階はアートギャラリー、妙義ギャラリー、VR体験コーナー、テラス、飲食エリアなど、2階は展示ギャラリー、3階は360度ガラス張りの展望ラウンジとなっている。前身が美術館だけあって、外観も館内の作りもしゃれている。

 1階のアートギャラリーでは、訪問時には妙義山を描いた絵画展の歴代の大賞作品が展示されており壮観であった。2階の展示ギャラリーでは妙義の植物について展示されている。3階の展望ラウンジは、大きな窓越しに妙義山が迫ってくる。他にも1階のテラス・飲食エリアなど、妙義山をゆったりと眺めるスペースが館内のいたるところに設けられている。しかも、妙義山についての本や、妙義山以外でも山にかかわる雑誌や書籍、漫画なども置いてあり、妙義山を望みながら、読書にふけこともできる。

 一般的な「ビジターセンター」は登山者への情報提供や、その山の自然や歴史についての展示がメインのように思うが、ここは「妙義山にひたる」ということも大切にしている場所だと感じた。

■妙義の成り立ちや歴史が学べる「妙義ギャラリー」

妙義山のジオラマに四季をイメージした映像がプロジェクションマッピングで投影される(撮影:笹田けいこ)
同じジオラマに、地質の分布図を投影することもできる(撮影:笹田けいこ)
妙義山が昔は火山だったということも、わかりやすく表現されている(撮影:笹田けいこ)

 1階の「妙義ギャラリー」は妙義山の地質、成り立ち、歴史、文学からのアプローチなど多様な角度から妙義山を解説・展示している部屋だ。筆者にとっては地元の慣れ親しんだ山のつもりであったが、知らなかったことばかりで勉強になった。

 部屋の中央には4メートル四方の妙義山の大きな立体模型(ジオラマ)がある。プロジェクションマッピングで妙義山の四季、地質、成り立ち、様々な登山ルート、江戸時代に登山客で栄えた様子などが分かりやすく投影されている。