■北海道ならではのコンディション抜群の魚と出会える! 秋はレインボーが◎

コンディション抜群の阿寒湖のレインボートラウト(撮影:水卜 ヤマト)

 大切なお金と時間をかけて出かけるのだから、北海道らしい野性味あふれるトラウトを釣りたいと願うのは当然のことである。そして、この点についても阿寒湖は釣り人の期待を裏切ることはないだろう。

 阿寒湖にはアメマス、レインボー、イトウ、ヤマベ(湖沼型サクラマスのこと)、ヒメマスなどのサケ科魚類が多数生息している。なかでもこれからの秋シーズンにもっともいい釣りを楽しめるのがレインボートラウト(ニジマス)である。

 秋のレインボーはこのあと続く長い冬にそなえて、また年明け春の産卵に備えて荒食い(エサをたくさん食べる状態)を始める。阿寒湖名産のワカサギをたらふく食べて迫力満点のボディとなったレインボーは、そのパワーがもの凄いことで大評判。フッキングした直後から猛烈な引きで釣り人を圧倒することがしばしばで、一度その引きの強さを体感すると病み付きになること間違いなしである。

 今から15年以上前、筆者が初めて阿寒湖を訪れた当時は、明らかに成魚放流と思われるヒレの欠けたレインボーが多数釣れていた。ところがここ10年ほどはそういった個体はまったく見られず、文字どおり完全無欠のパーフェクトな個体ばかりが釣れるようになり、年々出かけるのが楽しみになっている。レインボーの種苗放流(稚魚放流)の成果が実った証拠かもしれない。

おそらく稚魚放流した個体が大きく育ったものだろう(撮影:水卜 ヤマト)

 阿寒湖に生息するレインボーは、その多くが湖内を広く泳ぎ回っている回遊個体だと思われる。このため回遊コースとなる水通しの良いポイントを狙うとよい。

 ポイント名では、ボッケの崎~大島前(阿寒湖温泉街から歩いていくことが可能)、この区間にある沖に張り出した岬状のポイントはレインボー狙いにおすすめである。

阿寒湖の南岸(温泉街の東側)エリアは湖畔に遊歩道があるので、徒歩でポイント移動がしやすい(撮影:水卜 ヤマト)

 ほかにも渡船でのみ行ける大島や小島、ヤイタイ島もおすすめで、こちらもとにかく水通しがよく、さらに風が当たる側のポイントに入って広範囲を探ると良い釣果に恵まれるだろう。

渡船を使えば島に渡ることもできる(撮影:水卜 ヤマト)

 レインボーのような回遊魚を狙う場合、魚がやってくるまで待つスタイルと、ポイント移動を繰り返して魚に会いに行くスタイル(いわゆるランガンスタイル)があるが、これは自分の釣り方と相性のよい方を選べばいいだろう。ただし、どちらを選んだとしても、できる限り水辺に立ち、キャストを繰り返した者のみに釣果が訪れることを忘れないでほしい。「そんなの当たり前」と言われてしまいそうだが、これは長年にわたり阿寒湖に通ってきた筆者の実感である。

【阿寒湖で筆者が使用しているタックル】
(ルアーフィッシング用)
・ロッド:トラウト用のスピニングロッド(7~8フィート)
・リール:スピニングリール(2500~3000番)
・ライン:PEライン(0.8~1.0号)
・リーダー:ナイロンまたはフロロ(8~10ポンド)
・スイベル:小型のスイベル
・ルアー:スプーン(6~10g)、リップレスミノー(7~9cm)、ジグミノー(8~12g)、ミノー(7~11cm)
・フック:遊漁規則によりシングル&バーブレスのみ使用可。フックは1本の竿に1つまで。

■秋の阿寒湖で思い出に残る魚を手にしよう

 阿寒湖では例年、9月下旬〜10月中旬にかけて紅葉が見頃を迎える。これを過ぎると紅葉目当ての観光客が少なくなり、温泉街の賑わいも少し落ち着いてくる。この頃が阿寒湖の秋の釣りシーズン・スタートである。ちなみに阿寒湖でのレインボーを中心としたトラウトフィッシングの遊漁期間は5月1日〜11月30日までとなっている。

 10月〜11月の湖の表層水温は13℃前後の適水温となり、多くのトラウトが岸寄りをはじめる。朝方の気温は氷点下になることも珍しくないので、防寒対策をしっかりして万全の態勢で臨むようにしよう。

 大自然が色濃く残る阿寒湖だが、温泉街周辺だけは釣り人にとってありがたい施設が立ち並んでいる。北海道が初めてという遠征初心者でも、気おくれすることなく釣りが楽しめるのでぜひ阿寒湖に出かけてもらいたい。

 

●【MAP】阿寒湖漁協/フィッシングランド阿寒

・フィッシングランド阿寒(遊漁規則、ポイントマップ、渡船・ガイドサービスなどの情報あり)
 https://www.koudai-akan.com/fishingland.html

・釧路・阿寒湖観光公式サイト(釧路・阿寒湖の宿泊・飲食・各種アクティビティなどの観光情報あり)
 https://ja.kushiro-lakeakan.com