登山が趣味の人はもちろん、登山をはじめたいと思っている人や、登山をしない人でも、誰もが一度は「日本百名山」というワードを耳にしたことがあるはず。

 「日本百名山」とは、作家で登山家の深田久弥の著書で紹介されている日本の100の山。選定されている山は、どれも景色を楽しめる山々で、百名山を目標に登山を楽しんでいる人も少なくない。

 今回は百名山のひとつで、夏でも比較的快適に登山を楽しめる金峰山を紹介する。

■富士山や南アルプス・八ヶ岳を楽しむ日本百名山・金峰山

 山頂にそびえる、高さ15mの五丈岩(ごじょういわ)を本宮とし、かつては修験の道として信仰があった金峰山は、山梨県北杜市、甲府市、長野県川上村にまたがる、標高2,599mの山だ。標高こそ、北奥千丈岳に劣るものの、奥秩父山塊の盟主として知られている。

■標高2,360m地点から登山スタート

 登山口である大弛峠は標高2,360mの場所にあり、8月でも気温は20℃以下。比較的快適に過ごせる。

 山頂までの標高差は239mだが、車で標高2,360m地点まで行くため、高山病への注意は必要だ。高度順応するために、登山口に着いてから少なくとも30分〜1時間ほど滞在してから行動を開始したい。また、登山届の提出も忘れずに(登山届は登山口で提出できる他、インターネットでも提出が可能だ)。

大弛峠から続く登山道、シラビソの樹林帯の中を歩く(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 登山道は踏み跡がしっかりとあり、岩が多くある場所もあるが、難所も少なく、歩きやすい。1時間ほどで朝日岳の山頂が見えてくる。山頂からは富士山がきれいに見えるほか、目指す金峰山もだいぶ近くなる。

朝日岳(あさひだけ)は標高2,579mの山で、甲府名山に選定されている。山頂にはベンチも設置されており、休憩するのにちょうどいい(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
朝日岳山頂からの富士山、駐車場からは1時間ほどだが、山深い場所にいることを再認識する(撮影:ブラボーマウンテン編集部)
南アルプスの山々と、目的地である金峰山のシンボル五丈岩がみえる(写真右)(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

■山頂までの気持ちのいい稜線歩き

 朝日岳を過ぎると一旦下りになり、アップダウンを繰り返す。一部、急な場所もあるが、どれも短い区間で繰り返す登りと下りはテンポよく歩くことができる。

樹林帯を抜けた稜線歩き。五丈岩はまだ見えないが、両側にはパノラマが広がり、歩いていて気持ちがいい(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

■花の百名山「金峰山」山頂

 稜線を15分ほど歩くと目的地、金峰山山頂に到着。

金峰山のシンボル「五丈岩」とバックに見える富士山、2時間ほどでこの景色を楽しめる(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 五丈岩は15mあるので、遠くからでも存在感を感じるが、近くで見るとさらに圧倒される。大きな岩が2,599m地点で積み上げられていることに重ねて驚かされる。

 金峰山は深田久弥が選定した百名山の他に、「花の百名山」にも選定されていて、季節に合わせてコイワカガミ、ミツバオウレン、コミヤマカタバミなどの花を楽しむことができるのも魅力だ。

山頂付近で咲いていた「キバナシャクナゲ」(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 大弛峠からのルートは往復で5時間もあれば帰ってこられるため、初心者でもチャレンジしやすい登山コース。しかし、2,500mを超える山のため、8月でも平均気温は18℃、最低気温は10℃を下回り、ガレ場もある。しっかりとした登山靴やウエアで望むことはもちろん、行動食や飲料水は余裕を持っていくことをおすすめする。

●金峰山

住所:〒384-1401 長野県南佐久郡川上村川端下

●大弛峠

住所:〒404-0007 山梨県山梨市牧丘町北原4141