■2つの近代遺産「蹴上インクライン」「ねじりまんぽ」

舟運ルートとして使用されていた蹴上インクライン(撮影:野口宣存)
蹴上インクラインでは、このような舟を運んでいた(撮影:野口宣存)

 「蹴上(けあげ)インクライン」とは、琵琶湖疏水を利用した舟運ルートの一区間。このルートは傾斜がきつく、舟での通行が困難であったため、傾斜鉄道(インクライン)を利用していたという国史跡。

日頃は人の多い蹴上インクラインも、雨の日は独り占めだ(撮影:野口宣存)

 傾斜のある廃線沿いには桜が植えられており、花見シーズンには観光客でにぎわう。雨の日は、濡れた線路とそれを囲む桜をみながら、ノスタルジックな気分に浸りながら歩くのがおすすめ。雨の日は人が少ないので、ゆっくり散歩が楽しめる。

入口からでも中がねじれていることがわかる、ねじりまんぽ(撮影:野口宣存)
雨の日にはレンガが汗をかく、ねじりまんぽ(撮影:野口宣存)

 また、蹴上インクラインの下にある小さなトンネル、「ねじりまんぽ」も一見の価値がある。強度を高めるために、ねじったようにレンガを敷き詰めた近代遺産だ。なお、「まんぽ」とはトンネルを意味する「間歩(まぶ)」がなまったもの。地方により、「まんぷ」「まんぶ」「まんぼ」などと呼び方が若干変わる。

●蹴上インクライン

・住所:〒606-8435 京都府京都市東山区東小物座町339

・URL:https://www.city.kyoto.lg.jp/suido/page/0000007477.html

●ねじりまんぽ

・住所:〒605-0044 京都府京都市東山区東小物座町 蹴上駅

・URL:https://biwakososui.kyoto.travel/midokoro/212

■嵯峨野竹林の小径

夕方の人が少ない時間帯の竹林の小径(撮影:野口宣存)
雨が上がり、急に人が増えた昼下がりの竹林の小径(撮影:野口宣存)

 京都嵯峨野の竹林は世界的にも有名で、多くの観光客がやってくる。ここは雨が降っても賑わっているが、訪れるなら人が少なくなってくる夕方頃がねらい目だ。

竹林の小径からほど近い御髪神社。観光客はいなかった(撮影:野口宣存)
御髪神社向かいの小倉池は蓮が美しい(撮影:野口宣存)

 なお、竹林の小径からほど近い「御髪(みかみ)神社」の小倉池。蓮が美しい雨の日にこそ訪れたいスポットだ。ここは日本で唯一、理容や美容業界の始祖、藤原采女亮政之(ふじわらうねめのすけまさゆき)を祭神とする神社。そのため、理容師や美容師の方がよく訪れるが、一般観光客にはあまり知られていない穴場スポット。あわせて訪れてみるとよいだろう。

●竹林の小径

・住所:〒616-8394 京都府京都市右京区

●御髪神社

・住所:〒616-8394 京都府京都市右京区嵯峨小倉山田淵山町10

●小倉池

・住所:〒616-8396 京都府京都市右京区嵯峨小倉山田淵山町10

 このように、京都には雨の日こそ美しさが映えるスポットがたくさんある。機会があれば、ぜひ雨の日に訪れてみるとよいだろう。