■岩場や鎖のある登山道

岩場や鎖、はしごが続く両神山の登山道(撮影:穂高カレン)

 登山口から30分ほど歩いた先に、分岐点「会所」がある。ここから「表参道コース」と「七滝沢コース」の二手に分かれ尾根で合流するが、「七滝沢コース」は現在通行禁止になっているので、下山の際も迷い込まないように注意したい。

 しばらくは沢沿いの道を上っていくが、川を渡って進む「渡渉」が必要な箇所もいくつか出てくる。雨の後は水量が多くなっているので注意が必要だ。

 会所から2時間ほどで、無人の避難小屋「清滝小屋」が見えてきた。かつては山小屋として営業していた小屋で、有料トイレ(100円)や水場、広いベンチやテント場などが併設され、ゆっくり休憩できた。尾根まではもう一息だ。

 清滝小屋を出て急坂を上りきると、20分ほどで尾根へ出て一気に視界が開ける。ここからは岩場や鎖の続く険しいルート。迫力ある急峻な岩壁や、鎖場を慎重に進み、神社へ参拝してから無事に山頂へ到着した。

両神山の清滝小屋(撮影:穂高カレン)

■絶景を一望できる両神山山頂

荒々しい岩場を越えた先にある両神山の山頂(撮影:穂高カレン)

 360度見渡せる山頂からは、遠くに八ヶ岳や富士山を見ることができる。岩肌がむき出しになった山頂は狭く、両神山の荒々しく荘厳な雰囲気を象徴している。

 山頂に近い尾根では、春先にはアカヤシオツツジが咲き乱れ、秋には一面の紅葉で彩られ、特に人気の高いシーズンとなる。

 百名山として古くから愛されている両神山。実は毎年、遭難や滑落の事故も起きている。事故の多くが無理な登山計画や、下山中にバランスを崩したことで発生しているという。基本的なことだが、事前に必ず登山届を提出し「余裕を持ったプランを立てる」「難しいと思ったら引き返す」などの判断が大切だ。

 ほら貝の音が響く神秘的な山で、登山の険しさと厳しさを改めて見つめなおした。険しく苦しい先に絶景があるからこそ、また山に登りたくなるのかもしれない。

両神山の山頂付近からは、遠くに富士山の姿を拝むことができた(撮影:穂高カレン)

●両神山

住所:〒368-0201 埼玉県秩父郡小鹿野町両神薄